施設の特徴
ひみラボ水族館の特徴
氷見の川魚を主役にした、淡水魚専門の学びの水族館
ひみラボ水族館は、富山大学理学部と氷見市が連携する研究拠点「ひみラボ」内に開かれた、氷見の淡水魚を専門に扱うミニ水族館です。氷見といえば富山湾の海の幸を思い浮かべがちですが、ここで主役になるのは川や水路、田園環境にすむ魚たち。氷見地域では過去の記録を含めて58種類の淡水魚類が確認されており、富山県全体の記録103種類の約半数にあたります。その中から常時約30種類を展示し、国指定天然記念物で絶滅危惧種でもあるイタセンパラを中心に、ミナミアカヒレタビラ、ヤリタナゴ、ヨシノボリ類、ウキゴリ類、ナマズ、コイなど、身近でありながら見分ける機会の少ない川魚の多様性に出会えます。
1種ずつ見る展示と、川の環境ごとに見る展示
展示方法は、魚を“名前だけ覚える”のではなく、暮らし方の違いまで見せる構成になっています。個別展示ゾーンでは、1種類の魚を1つの水槽でじっくり観察でき、分類、分布、形態、生態、希少性、保護状況をまとめたパネルとあわせて見られます。特にイタセンパラは、産卵に二枚貝を利用するタナゴ類ならではの生態が注目点です。一方、生態展示では「中・上流域の魚たち」「田園の魚たち」「下流域の魚たち」「海の近くの魚たち」といったテーマ別の大型水槽で複数種を混泳展示し、同じ氷見の川でも、場所によってすむ魚が変わることを体感できます。似たタナゴ類やハゼ類を見比べられる配置も、研究拠点らしい細やかな見せ方です。
飼育実験と保全研究が展示の背景にある
ひみラボ水族館の大きな強みは、展示の背後にイタセンパラをはじめとする希少淡水魚の飼育・保全研究があることです。ひみラボでは2011年度から、イタセンパラの餌や飼育密度、水槽条件などを変えながら成長に適した条件を探る飼育成長実験を進めてきました。さらに、富山県版レッドデータブックで絶滅危惧I類とされるミナミアカヒレタビラやヤリタナゴについても、富山大学理学部山崎研究室と氷見市教育委員会が連携し、成長や繁殖に関する基礎情報を集めています。単なる観賞展示ではなく、地域の川魚を守るための飼育技術・調査研究が、来館者にも見える形で水槽や解説に反映されている点が特徴です。
川の生き物と関わる参加型の環境教育
水族館としての展示に加え、ひみラボは地域の環境教育拠点としても機能しています。館内では魚を調べたりスケッチしたりする滞在型学習、魚への餌やりや水槽掃除に関わる参加型学習、ザリガニ釣り、氷見の川にすむ魚を題材にしたカードやクイズなどを通して、観察から一歩進んだ関わり方が用意されています。近年は環境DNA分析を用いたタナゴ類や二枚貝、メダカ、アメリカザリガニなどの調査にも取り組み、希少生物をむやみに捕獲せずに生息状況を調べる技術を研究・教育・普及啓発に活用しています。富山大学、氷見市教育委員会、NPO法人Bioクラブが続けてきたこれらの活動は、2025年に「とやま環境賞」優秀活動賞としても評価されました。
