施設の特徴
サンクチュアリセンターつきだて館(昆虫館)の特徴
伊豆沼・内沼の湿地昆虫を標本で読み解く
サンクチュアリセンターつきだて館は、ラムサール条約登録湿地「伊豆沼・内沼」にすむ昆虫を主役にした、宮城県内でも珍しい湿地昆虫テーマの昆虫館です。1階では、ウチワヤンマ、コフキトンボ、チョウトンボが多く見られる伊豆沼・内沼らしい昆虫相を、標本を通して紹介しています。宮城県内では生息地が少ないとされるオオセスジイトトンボ、アオヤンマにも触れられており、地域の自然を「きれいな虫」ではなく、湿地・水辺・丘陵地のつながりとして見られるのが魅力です。
トンボ、チョウ、水生昆虫まで“環境ごと”に見せる展示
展示は、伊豆沼・内沼周辺の環境を背景に、昆虫がどこで育ち、何を利用して生きているかを追いやすい構成です。沼周辺のエノキにはオオムラサキやゴマダラチョウ、湿地のセリにはキアゲハ、カサスゲにはオオヒカゲというように、植物と昆虫の関係まで読み取れます。さらにゲンゴロウやガムシの仲間、コバンムシ、チビミズムシなどの水生昆虫も扱われ、淡水域の小さな捕食者・分解者・水面生活者に目が向く展示になっています。2階では世界のチョウや甲虫の標本も並び、地元の湿地昆虫と世界の多様な昆虫を見比べられます。
標本保存と映像が支える、観察型の昆虫学習
生体の繁殖展示や飼育下繁殖の実績は確認できませんが、この館の強みは標本の保存と解説にあります。世界の昆虫標本は、仙台市太白山自然観察の森・自然観察センター館長だった高橋雄一氏の寄贈標本をもとにしており、展示方法や解説にも協力を受けています。つまり、地域の昆虫を残す標本展示と、専門家の知見を取り入れた世界の昆虫展示が組み合わさった学習型の昆虫館です。約13分の映像「伊豆沼内沼昆虫記」では、チョウトンボを入口に、伊豆沼・内沼の四季と昆虫の暮らしを立体的に理解できます。
沼そのものを観察につなげる昆虫館
つきだて館の展示は館内で完結せず、2階の展望コーナーから内沼の生きものや植物を望遠鏡で観察できる点も特徴です。伊豆沼・内沼には鳥・淡水魚・昆虫をテーマにした3つのサンクチュアリセンターがあり、その中でつきだて館は昆虫を担当する施設として位置づけられています。標本で形を知り、映像で季節を知り、窓の外の沼で実際の環境を見る――そんな流れで、昆虫を単体ではなく湿地生態系の一員として捉えられるのが、この昆虫館ならではの楽しみ方です。
