施設の特徴
いなみ野水辺の里公園魚のおうちの特徴
東播磨のため池・水路・河川の魚を主役にする小さな水族園
いなみ野水辺の里公園魚のおうちは、平成26年に開園した「いなみ野水族園」の常設展示施設で、東播磨地域のため池、水路、河川にすむ魚を紹介する地域密着型の水族館です。大水槽のスター生物を見せる施設ではなく、コイ、フナ類、オイカワ、タナゴ類、モツゴ、タモロコ、ドジョウ、ゴクラクハゼなど、身近な水辺で暮らす淡水魚を主役にしている点が個性です。特にフナ類は複数の水槽で観察例があり、ゲンゴロウブナやオオキンブナとされる個体、50cm近い大型個体まで見られることがあります。兵庫県内でも、東播磨の「ため池文化」と淡水魚をここまで絞って見せる展示は貴重です。
10の水槽で、すみかと暮らし方の違いを比べる
展示方法は、東播磨の魚をただ並べるのではなく、「いなみ野のため池の魚」「外来種」「大型肉食魚」「大型草食魚」「多くのため池から姿を消した魚」など、テーマ別の水槽で見せる構成です。川にすむ魚の水槽では流れをつくり、オイカワなどが水流の中で泳ぐ様子を観察でき、ため池の魚の水槽ではタナゴ類やモツゴ、ドジョウなどが表層・中層・底層を使い分ける姿を見比べられます。水草、流木、砂利、岩を組み合わせた水槽もあり、魚の体形や泳ぎ方が「どんな水辺に向いているか」を読み取れる展示になっています。
魚だけでなく、水生昆虫や観察池までつながる学び
魚のおうちの魅力は、屋内の水槽展示だけで完結しないところにもあります。園内には学習展示棟や観察池があり、水生動物や水草、昆虫標本、写真展示なども合わせて見られます。水生昆虫の展示ではタガメのような大型昆虫を中心に、水辺の食う・食われる関係や、魚だけでは見えにくい淡水環境の広がりに触れられます。観光施設というより、地域の水辺を小さく切り取った学習空間で、魚、水生昆虫、水草をまとめて観察できる点が、一般的なミニ水族館との違いです。
ため池ミュージアムの拠点として、生き物を守り伝える
繁殖実績を前面に出す施設ではありませんが、飼育・保全の面では、いなみ野ため池ミュージアムやため池協議会のイベントで展示する生き物のバックヤードとして使われることが紹介されています。つまり魚のおうちは、展示水槽で見せるだけでなく、地域の水辺の生き物を集め、維持し、学習活動へつなげる拠点でもあります。指定管理者であるNPOが公園を管理し、「いきものと共生する環境をつくり出し、豊かな自然を呼び戻す」という公園全体のテーマの中で、魚の飼育展示を担っています。東播磨のため池環境を知る入口として、派手さよりも地域の生物多様性を丁寧に伝える水族館です。
