施設の特徴
多摩動物公園の特徴
国内唯一展示のタスマニアデビルと、希少動物の厚いラインアップ
多摩動物公園は、約350種の生きものを展示する都立動物園で、アジア園・アフリカ園・オーストラリア園・昆虫園などを通して、地域ごとの生物相を大きなスケールで見せています。特に注目したいのは、国内唯一の展示として紹介されているタスマニアデビルです。タスマニア島固有の肉食性有袋類で、顔面腫瘍病などにより野生個体が減少している絶滅危惧種を、保全の“アンバサダー”として観察できます。ほかにも、ユキヒョウ、チーター、モウコノウマ、コアラ、クロツラヘラサギ、ハキリアリ、オオゴマダラなど、生態や進化の個性が強い動物・昆虫がそろい、哺乳類だけでなく鳥類・昆虫まで含めた生物多様性の厚みを感じられます。
放養式展示と世界初のライオンバスで、行動を引き出す
展示方法では、1958年の開園以来、動物をできるだけ本来の姿で見せるため、檻ではなく濠で区切る放養式展示を取り入れてきた点が大きな特徴です。広い放飼場で群れをつくる動物をなるべく群れで飼育する方針は、ライオン、キリン、シマウマ、チンパンジーなどの社会性や動きの違いを観察するうえで重要です。1964年に始まったライオンバスは、バスでライオンの放飼場内をめぐる世界初のサファリ形式展示として知られ、現在もライオンの体格や群れの距離感を間近で感じられる象徴的な展示です。さらに、高さ約15mのロープをオランウータンが渡るスカイウォーク、チョウが一年中舞う昆虫生態園など、立体的な移動や小さな生きものの行動を引き出す見せ方も充実しています。
トキ・ニホンコウノトリに見る、繁殖と保全の拠点性
繁殖・飼育の面では、野生生物保全センターを中心に、希少種の保護増殖に深く関わっている点が多摩動物公園の重要な魅力です。ニホンコウノトリは、国内では一度野生絶滅した鳥で、同園は1988年に国内の動物園で初めて繁殖に成功し、その後も長年にわたり繁殖実績を重ねています。2025年にもひなが孵化し、園内では遺伝的な組み合わせを考えたペア形成や、コウノトリ自身に相手を選ばせる工夫が紹介されています。トキについても、環境省の保護増殖事業に協力し、佐渡トキ保護センターから預かった個体を非公開施設で飼育繁殖しています。2026年には国内飼育下でその年初となるトキのひなが誕生しており、来園者が直接見られる展示だけでなく、見えない場所で命をつなぐ技術と保全活動が積み重なっている動物園です。
