施設の特徴
富山ファミリーパークの特徴
ニホンライチョウと里山の生きものを軸にした展示
富山ファミリーパークは、約90種700点前後の動物を飼育しながら、「動物」「里山」「地域」を結びつけて見せる動物園です。特に象徴的なのが、国の特別天然記念物であり国内希少野生動植物種でもあるニホンライチョウの展示です。ライチョウは本州中部の高山帯にすむ鳥で、季節によって羽色が変わり、冬には白く、春から夏には山の岩や草に溶け込む色へ変化します。富山県の観光情報でも、一年を通してニホンライチョウを観察できる国内でも貴重な施設として紹介されており、立山連峰を抱える富山らしい生物展示といえます。加えて、ツシマヤマネコ、ニホンカモシカ、ホクリクサンショウウオ、ムササビ、ニホンリスなど、日本や北陸の自然に関わる生きものを厚く扱っている点も特徴です。
里山そのものを展示空間にする見せ方
展示方法では、動物舎の中だけで完結しない「里山を歩きながら観察する」構成が大きな魅力です。郷土動物館や里山生態園では、富山や日本の野生動物を中心に紹介し、園内の雑木林や水辺も生きものの観察フィールドとして活用しています。とんぼの沢では、富山県と石川県の一部にだけすむホクリクサンショウウオが園内にも生息し、産卵期には水辺に現れることが紹介されています。春から秋には多くのトンボ、初夏にはモリアオガエルやゲンジボタルなど、飼育展示と野生観察が連続している点が独自です。ムササビ村では、野生のムササビが使う巣箱の中を赤外線カメラで観察でき、夜行性で見つけにくい動物の暮らしを、行動を邪魔しにくい方法で見せています。
繁殖・保全技術を地域とつなぐ取り組み
繁殖・飼育の面では、ニホンライチョウの生息域外保全が中心的な取り組みです。富山ファミリーパークは2015年から環境省と日本動物園水族館協会によるライチョウ保護増殖事業に参画し、11の動物園で構成される域外保全プロジェクトチームの一員として、人工繁殖や自然繁殖、飼育下での光環境、栄養、繁殖生理などの研究を進めています。ライチョウ基金を設け、クラウドファンディングを通じて飼育繁殖技術の確立や普及啓発を支えてきた点も、単なる展示施設にとどまらない固有性です。さらに、ツシマヤマネコの保護増殖事業にも参画し、飼育展示を通して野生個体群の現状を伝えています。ホクリクサンショウウオについても、地域団体や学校と連携し、生息地調査や環境整備、出前授業を行っており、富山ファミリーパークは「見る動物園」であると同時に、北陸の里山で命をつなぐ実践の場になっています。
