施設の特徴
四国水族館の特徴
四国水族館は、瀬戸内海、太平洋・黒潮、四万十川、仁淀川など、四国を形づくる水辺を「四国水景」として見せる水族館です。約400種14,000点の生きものを扱い、海の大回遊魚からサメ、クラゲ、深海生物、淡水魚、ペンギン、カワウソ、アシカ、イルカまで、四国周辺の水環境を広くたどれる構成になっています。黒潮の大水槽では、スマ、マダラトビエイ、アジの仲間などが群れをつくって泳ぎ、2026年には愛媛大学南予水産研究センターで完全養殖されたスマも搬入されました。スマは西日本でヤイトカツオなどとも呼ばれる小型マグロ類で、市場流通が少ない魚として紹介されており、黒潮の生物を“地域の水産研究”とも結びつけて見られる点が魅力です。
四国最大650トン水槽と、サメを見上げる展示
展示方法で特に印象的なのが、四国最大とされる650トン水槽「綿津見の景」です。四国南部を流れる黒潮をテーマに、約40種1,300点の魚たちが群れをつくりながら泳ぐ姿を、大きなアクリル面越しに観察できます。鳴門海峡の渦潮をイメージした「渦潮の景」では、強い潮流が酸素や栄養を混ぜ、生物を豊かにする仕組みを水槽で表現しています。「神無月の景」では、アカシュモクザメなどサメの姿を下から見上げる構成になっており、体のシルエットや独特の泳ぎ方が際立ちます。魚名を並べるだけではなく、黒潮、渦潮、荒磯、サンゴ、清流といった環境の力を通して、生きものの形や行動を見せる点がこの施設らしさです。
日本初繁殖の稚魚展示と、命をつなぐ飼育技術
繁殖・飼育面では、2024年にイエローリップダムゼルの繁殖を日本初、コバンアジの繁殖を国内2例目として公表し、四国水族館生まれの稚魚を展示した実績があります。イエローリップダムゼルは岩に産み付けられた卵をバックヤードで孵化・育成し、コバンアジは大水槽「綿津見の景」で漂う卵を採卵して育てたもので、産卵様式の違う魚をそれぞれに合わせて管理した点が注目されます。ケープペンギンでは複数回の雛の誕生があり、親による子育ての観察や人工育雛も紹介されています。さらに2025年に同館で初めて誕生したカリフォルニアアシカの子どもは、授乳不調を受けて人工哺育で育てられ、離乳訓練を経てフィーディングタイムに加わりました。
生きものとの関わりを深めるプログラムも、飼育の裏側を知る内容が中心です。大水槽「綿津見の景」のバックヤードツアーでは、水槽の裏側や飼育管理をスタッフの解説付きで見学でき、カワウソのふれあい体験では、アクリル越しに餌を与えながら前肢の動きや食べ方を近くで観察できます。瀬戸内海の藻場減少や漁獲量減少を背景に、香川大学と連携した人工魚礁研究の紹介も始まっており、海藻の生育や生きもののすみかづくりを展示へつなげています。四国水族館は、景色として美しい水槽だけでなく、魚が育つ海、命をつなぐ飼育、地域の海を守る研究まで一続きに感じられる水族館です。
