施設の特徴
山梨県立富士湧水の里水族館の特徴
富士山の湧水で見せる、山梨の淡水魚
山梨県立富士湧水の里水族館は、富士山の湧水を使って淡水魚を展示する、山梨県内の河川・湖沼の生物に軸足を置いた水族館です。展示は海水魚ではなく、イワナ、ヤマメ、アマゴ、アユ、ウグイ、ニジマス、イトウなど、川や湖で暮らす魚が中心。県の情報では、展示数は100種を超え、飼育数ではさらに多くの淡水生物を扱っており、県内の水辺の生物相をまとまって見られる施設として貴重です。大型魚のイトウは希少魚として紹介され、ニジマスなどとともに迫力ある泳ぎを見せる一方、ヤマメやアマゴのような身近な渓流魚も同じ流れの中で観察でき、山梨の水環境を「魚の暮らし」から理解できる構成になっています。
二重回遊水槽と湧水の透明感が生む展示
展示方法で特に印象的なのが、館内中央の二重回遊水槽です。外側と内側が分かれた二重構造により、イトウや大型のニジマスのような魚と、小型の魚がまるで同じ水槽を泳いでいるように見えます。捕食される関係にある魚を安全に分けながら、来館者には同じ水域を回遊しているように見せる仕組みで、透明度の高い湧水を使うこの水族館ならではの演出です。水上・水中カメラで魚の表情を観察できる点も、単に水槽の前に立つだけではない面白さがあります。源流から中流までの環境を再現した水槽では、イワナ、ヤマメ、アマゴ、アユ、ウグイなどが環境ごとに展示され、季節によってはなわばり行動や産卵に関わる動きも見られます。
小さな生物から保全研究まで、水辺の命を学ぶ
繁殖・飼育の面では、富士山麓の冷たく澄んだ水を活かして、冷水性の淡水魚を安定して飼育している点が施設の土台になっています。水族館の展示は、山梨県の内水面漁業や淡水魚研究ともつながりがあり、県が進めるクニマスの生態調査や保全研究の成果にも触れられます。クニマスは現在、自然界では山梨県の西湖にのみ生息するとされる魚で、山梨県水産技術センターでは生息環境、産卵生態、養殖技術の研究が続けられています。西湖湖底のモニタリングカメラ映像が水族館でリアルタイム放映される取り組みもあり、普段は見ることが難しい深い湖の魚の暮らしを、研究と展示をつなぐ形で知ることができます。
マイクロアクアリウムコーナーでは、淡水魚の餌となるプランクトンや水生昆虫を顕微鏡で観察でき、魚だけでなく、水辺の食物連鎖を支える小さな生物にも目を向けられます。口コミでは、派手な海の水族館とは違う落ち着いた雰囲気、澄んだ水槽の見やすさ、川魚をじっくり観察できる点がよく語られています。山梨県立富士湧水の里水族館は、巨大なショーで驚かせる施設ではなく、透明な水の中で淡水魚の体のつくり、泳ぎ方、すむ場所の違いを丁寧に見せる水族館です。富士山の水が育む生物の世界を、静かに、しかし深く味わえる場所といえます。
