施設の特徴
岡山県自然保護センターの特徴
里山の生物多様性とタンチョウを同時に見られる自然保護拠点
岡山県自然保護センターは、約100ヘクタールの里山そのものを観察フィールドにした自然学習・保護施設です。アカマツ林や雑木林、湿生植物園、虫の原っぱ、昆虫の森、水辺などが組み合わされ、キビタキやオオルリなどの野鳥、トノサマガエルやアカハライモリ、クサガメ、カナヘビ、トンボやチョウ、カブトムシやクワガタムシまで、岡山の里山に暮らす生きものを季節ごとに探せます。植物ではトキソウ、サギソウ、サワギキョウ、カキツバタ、ショウブ、ササユリなど、湿地や草地に息づく花も見どころです。なかでも国の特別天然記念物であり国内希少野生動植物種でもあるタンチョウを30羽以上飼育している点は大きな特筆点で、単独のタンチョウ飼育施設としては国内でも突出した規模とされています。
“展示ケース”ではなく、環境ごと観察する展示方法
この施設の展示方法は、動物を檻の中で見せるというより、里山・湿地・池・草原・森を歩きながら、生きものがいる環境ごと観察するスタイルです。虫の原っぱではバッタやコオロギなど草原性昆虫、昆虫の森では甲虫や森林性昆虫、水辺ではヘイケボタルやミズスマシ、湿地ではハッチョウトンボなど、場所ごとに出会える生きものが変わります。野鳥観察施設や観察路も整えられており、鳴き声、飛び方、採食、季節移動といった行動を、自然の流れの中で見られるのが魅力です。センター棟では映像や標本で観察の手がかりを学べるため、野外で見た生きものを後から確かめる楽しさもあります。
タンチョウの保護増殖と野生鳥獣救護を担う技術
岡山県自然保護センターは、タンチョウを「人と自然との共生」の象徴として飼育し、種の保存を目的に血統管理や人工ふ化を含む繁殖・保護に取り組んでいます。春には求愛のダンスや抱卵、季節によっては食事や親子の成長など、繁殖行動や飼育管理の一端を観察できることがあります。さらに、傷病野生鳥獣の保護・治療・野生復帰にも関わっており、単なる観察施設ではなく、岡山県内の野生動物保護思想を広める役割も担っています。希少種の飼育、血統管理、救護活動が同じ場で行われている点は、一般的な公園型施設とは異なる強みです。
観察会を通じて、生きものの見方が深まる
自然観察会や湿原植物、トンボ、チョウなどをテーマにした体験型プログラムもあり、ただ歩くだけでは見落としがちな小さな生きものに気づけるのも魅力です。岡山県自然保護センターは、地域の生物多様性保全が評価される「自然共生サイト」にも認定されており、保全されている里山を実際に歩きながら学べる場所です。タンチョウの優雅な姿を入口に、湿地の植物、池の両生類、草原の昆虫、森の野鳥へと視野が広がっていく、生物好きにとって密度の高い自然観察フィールドです。
