施設の特徴
日和佐うみがめ博物館カレッタの特徴
大浜海岸のアカウミガメを中心に、カメの多様性を深く知る
日和佐うみがめ博物館カレッタは、ウミガメの産卵地として知られる大浜海岸に隣接する、国内でも珍しいウミガメ専門の博物館です。展示の主役は、大浜海岸に産卵のため上陸するアカウミガメ。成体では全長1mを超える大きな頭と赤褐色の体色を持ち、太平洋を横断するほど広く回遊する生態をもつ種です。館内ではアカウミガメの成体・亜成体・子ガメに加え、タイマイ、クロウミガメ、リクガメや淡水ガメなど約15種類のカメを飼育展示し、ウミガメだけでなく「カメという生きもの」の進化や生活史まで視野を広げて学べます。1950年生まれで年齢が明らかなアカウミガメとして世界最高齢とされる「浜太郎」も、日和佐のウミガメ研究史を体現する存在です。
2025年リニューアルで、水中からも行動を観察できる展示へ
展示方法の大きな魅力は、2025年のリニューアルで整えられた新しい大亀プールです。アニマルウェルフェアに配慮したプールでは、ウミガメが泳ぐ姿を上から見るだけでなく、水中観覧窓を通して、甲羅の動き、前肢の力強いストローク、息継ぎのために水面へ上がる行動を間近に観察できます。新展示では、カメの約2億年の進化、日和佐の町とウミガメが歩んできた歴史、環境問題がウミガメに与える影響、調査活動の実際などを、映像や体験型コンテンツを交えて紹介。大浜海岸を望む立地そのものも展示の一部になっており、館内で知った産卵・ふ化・回遊の物語を、目の前の砂浜と結びつけて理解できるのが、ほかの一般的な水族館展示にはない強みです。
調査・保護・人工繁殖を見据えた“ウミガメの町”の拠点
カレッタの価値は、飼育展示だけでなく、ウミガメ保護の現場と直結している点にあります。日和佐では1950年に中学校のウミガメ研究班が活動を始め、産卵回数の記録や飼育研究を重ねてきました。その流れを受け継ぎ、現在のカレッタでは大浜海岸のアカウミガメ産卵モニタリング、ふ化した子ガメの確認、漁網に入った個体の標識放流、漂着個体の調査、弱ったウミガメの保護・リハビリなどを行っています。大浜海岸は、ウミガメ産卵地として国の天然記念物に指定された歴史を持つ場所であり、そのすぐそばで調査・展示・教育が一体になっている点は、徳島県内はもちろん国内でも特筆できる特色です。
飼育員の仕事を通して、保全を自分ごとにできる
参加型の魅力としては、バックヤードツアーや、飼育員の案内でウミガメに餌を与える特別体験などがあります。単なるふれあいではなく、カメの生活リズムや健康状態に配慮しながら、飼育現場の視点で観察できるのが特徴です。子ガメは、他館で生まれた個体を受け入れて展示し、成長後に人工繁殖用として育てる、または黒潮にのせて野生復帰を目指す場合があると紹介されています。かわいらしい姿の奥に、外洋へ出ていく子ガメの厳しい生存競争や、人がどこまで関わるべきかという保全の問いが見えてくる。カレッタは、ウミガメを「見る」だけでなく、野生動物と人の距離を考えさせてくれる博物館です。
