施設の特徴
山口県立山口博物館の特徴
海浜から深山まで、山口県の生物相を一望する
山口県立山口博物館は、理工・地学・植物・動物・考古・歴史・天文を扱う総合博物館ですが、生物展示では山口県の自然そのものを主役にしています。本州西端にあり、三方を海に囲まれ、西中国山地や秋吉台をもつ山口県の環境を、海浜・干潟、市街地、河岸・ため池、草地、里山、深山の6つの自然シーンに分けて紹介。カブトガニ、ハマボウやハマオモトなどの海辺の植物、秋吉台のオキナグサやアカネスゲ、里山のイノシシやタヌキ、深山のツキノワグマやヒダサンショウウオまで、海から山地帯までの生物を県域の自然史として見られます。山口県内の自然を、これほど幅広い環境ごとにまとめて学べる点が、この館の大きな個性です。
6つの高密度ジオラマで、生息環境ごとに見せる
展示方法の特徴は、動植物を単独の標本として並べるのではなく、それぞれの生息環境を凝縮したジオラマの中で見せることです。海浜・干潟では山陰と瀬戸内の海辺の自然を、河岸・ため池では水辺の動植物のくらしを、草地では日本最大のカルスト台地として知られる秋吉台の草原環境を、里山では人の暮らしと結びついた生物相を紹介しています。深山の展示では、山口県最高峰の寂地山周辺に広がるブナ林と渓流を大型ジオラマで再現し、普段は出会いにくい山地の動物や植物を立体的に観察できます。標本を「どこで、どのように生きている生物なのか」まで想像できる構成です。
標本保存と研究で、地域の生物記録を未来へつなぐ
飼育下繁殖を見せる施設ではありませんが、山口県立山口博物館の生物への向き合い方は、標本を集め、保存し、調査研究に活かすことにあります。1912年の開館以来、理工・地学・植物・動物など多分野の資料を収集しており、総資料数は約35万点にのぼります。動物展示では、哺乳類、鳥類、両生類、爬虫類、昆虫類などを、剥製・レプリカ・標本をもとに紹介。植物では押し葉標本や図鑑、植物クイズなどを通して、県内外の植物を学べる工夫もあります。生きものを増やす飼育技術ではなく、地域の自然を標本として記録し続ける自然史博物館としての役割が、この館の強みです。
身近な生きものの見方が変わる博物館
山口県立山口博物館で面白いのは、希少種だけでなく、身近な生きものにも新しい視点を与えてくれることです。市街地の展示では、住宅地に入り込んだ帰化動植物を取り上げ、ふだん見慣れた植物や昆虫がどこから来て、どのように広がっているのかを考えられます。夜に活動するムササビやフクロウの展示、チョウやクワガタムシ、タマムシ、カミキリムシなどの昆虫標本も、山口県の自然を細かく見直す入口になります。海辺、草原、里山、深山を行き来するように展示をたどることで、山口の生物多様性を「地域の風景」として実感できる博物館です。
