施設の特徴
海とくらしの史料館の特徴
700種類・4,000体の魚のはく製が並ぶ「水のない水族館」
海とくらしの史料館は、生きた魚を水槽で見せる水族館ではなく、魚のはく製を通して境港の海と水産文化を伝える博物館です。収蔵する魚のはく製は約700種類・4,000体。巨大マンボウ「チョボリン」、ホホジロザメ、クロマグロ、シュモクザメ、ウバザメ、ハリセンボン、リュウグウノツカイなど、ふだん海中や市場で一瞬しか出会えない魚を、原寸に近い姿でじっくり観察できます。鳥取県内でも、魚類標本の量と大型魚の迫力をまとまって体感できる施設として個性が際立っています。
魚の体つきと漁の現場を、同じ空間で見せる
展示方法の特徴は、はく製を単なる標本として並べるだけでなく、境港の漁やくらしとつなげて見せることです。はく製展示室では、サメ類や大型魚の口、ひれ、体の厚み、全身の輪郭を近い距離で観察でき、魚が海の中でどう泳ぎ、どのような体で生きているのかを想像しやすくなっています。さらに館内には漁船や漁具の展示もあり、クロマグロやサメ、イカなどの海の生物が、どのような技術によって人のくらしに関わってきたのかを立体的に理解できます。
独自のはく製技術で、魚の姿を未来に残す
飼育下繁殖を見せる施設ではありませんが、この館の生物への向き合い方は、魚をはく製として保存し、後世に伝えることにあります。館内のはく製は、種政幸氏が長年の研究を重ねて作り上げた独自の技術によるものと紹介されています。魚の皮や形をできるだけ生かし、乾燥や薬品処理を経て標本化することで、本来は水揚げの場でしか見られない魚の大きさや形態を、長く観察できる資料にしています。生きものを繁殖させる技術とは異なりますが、魚の姿、地域の漁業、海の記憶を保存する自然史資料としての価値があります。
境港の海を、魚の姿から想像できる場所
海とくらしの史料館の魅力は、魚を「食べるもの」や「水揚げされるもの」だけでなく、形や生態、漁法と結びついた生物として見直せるところにあります。大型魚のはく製に驚いたあと、漁船や漁具を見ると、境港の海にどんな生きものがいて、人がそれらとどう関わってきたのかが自然に見えてきます。時期によっては、近海のヒトデ、ナマコ、イソガニなどに触れられる体験も行われており、巨大魚の標本観察と、身近な磯の生きものへの関心がつながる博物館です。
