施設の特徴
岐阜県博物館の特徴
岐阜の海・森・川にいた生物を、化石と標本でたどる
岐阜県博物館は、人文と自然を扱う総合博物館ですが、生物好きにとっての中心は「岐阜の自然がどう成り立ち、どんな生きものを育んできたか」を見せる自然展示です。高山市福地地域で見つかった日本最古の化石として知られるコノドント、古生代最大級の二枚貝シカマイア、瑞浪層群のデスモスチルス類、可児周辺のゴンフォテリウム、郡上市熊石洞のオオツノジカなど、海・湖畔・氷期の環境を物語る古生物が並びます。現生生物では、県内で約300種類が記録される野鳥、約180種類が知られる貝類、約50種類の淡水魚、56種類の哺乳類などを標本で紹介し、ギフチョウやハリヨのように岐阜らしさの濃い生きものにも出会えます。県の中央博物館として、岐阜県内の自然資料を幅広く集めている点が大きな固有性です。
骨格・ジオラマ・ARで、生物の暮らした環境まで見せる
展示方法は、標本をただ並べるのではなく、地層・環境・生態を結びつけて見せる構成です。自然展示室1では、福地のオルドビス紀の海、赤坂のペルム紀の海、荘川の白亜紀の湖畔、可児の新生代湖畔などをジオラマと化石で示し、「その生物がどんな場所で暮らしていたのか」まで想像しやすくしています。自然展示室2では、生命進化の道すじを立体展示でたどれるほか、北アルプスの垂直分布を野鳥の剥製や植物レプリカで示し、白山山ろくのブナ原生林ジオラマでは20種以上の生きものを環境ごと観察できます。メインホールではイグアノドン、アロサウルス、ステゴサウルスの骨格レプリカにARを重ね、復元された生体像を360度で見られるため、化石標本から生きていた姿へ橋をかける展示になっています。
希少種・外来種・水環境を、保全の視点で学べる
生きた動物の繁殖施設ではないため、飼育下繁殖の実績を見せる場所ではありません。その代わり、岐阜県の野生生物を守るための「標本保存・調査研究・教育普及」がこの館の保全軸です。レッドデータリストのコーナーでは、県内の絶滅危惧種を剥製やレプリカで紹介し、特定外来生物の展示では、人間活動によって持ち込まれた動物が生態系へ与える影響を考えられます。ハリヨのジオラマや水生生物を使った水質調査の展示は、湧水や河川環境の変化が小さな魚や水生昆虫に直結することを伝えるものです。さらに調査研究報告では、県内の蛾類調査、鳥類剥製、外来カメ類の記録、豪雨で被災した押し葉標本のレスキューなども扱われ、標本を未来へ残す博物館ならではの保全技術が読み取れます。
“水の国・山の国”として岐阜を見る入口
岐阜県博物館の自然展示は、恐竜や化石の迫力だけで終わらず、山地・森林・河川・湿原・鍾乳洞といった岐阜の多様な環境を、生物の視点からつなげて見せてくれます。県土の約8割を森林が占める岐阜では、昆虫、鳥、哺乳類、淡水魚の展示が地域の風土そのものを読む手がかりになります。古生物から現生の希少種までを一つの流れで見られるため、「岐阜にはどんな生きものがいて、どんな環境がそれを支えてきたのか」を知るには、県内でも特に体系的な入口となる博物館です。
