施設の特徴
稚内市立ノシャップ寒流水族館の特徴
日本最北で出会う、北の海と川の生きもの
稚内市立ノシャップ寒流水族館は、1968年に日本で100番目、かつ日本最北の水族館として開館した、寒流域の生物に焦点を当てた水族館です。展示は北方系の生きものを中心に約120種・約1,300点。水量90トンの回遊水槽では、「まぼろしの魚」と呼ばれるイトウをはじめ、ソイ、カレイ、ホッケ、オオカミウオなどが泳ぎ、北海道北部の海と川に息づく魚の力強さを近い距離で観察できます。稚内近郊の海で採集されたクリオネの展示もあり、最北の海ならではの小さな生物まで視野に入るのが魅力です。
回遊水槽と体験展示で、生態を動きとして見る
展示方法の核は、魚群の動きが見える90トンの回遊水槽です。大型水槽の中をイトウやホッケ、オオカミウオが泳ぎ回ることで、魚の体形や遊泳の違い、底近くを使う魚と水中を回遊する魚の行動差が自然に伝わります。さらに、タッチプールでは水族館前浜でも見られる生物に触れられ、ドクターフィッシュの展示も含めて、ただ眺めるだけでなく「触覚」から生きものの反応を知る構成になっています。小規模ながら、北の海の生物を標本的に並べるのではなく、動き・手ざわり・摂餌行動で見せる点が特徴です。
アザラシの繁殖と寒冷地ならではの飼育
繁殖・飼育面で特に目を引くのは、ゴマフアザラシの飼育です。2026年には3月16日にメスの「かんな」、3月21日にオスの「てん」が誕生し、幼獣池で成長を見守る展示が行われています。赤ちゃんの白い産毛が抜け、成長とともにゴマ模様が見えるようになる過程も、海獣の発育を知る手がかりになります。成獣にはホッケやオオナゴを主に与えており、食事やおねだりの行動から、野生では魚だけでなくイカやタコ、エビなども食べるゴマフアザラシの生態へ関心が広がります。冬には屋外プールの海水が凍り、氷の間から顔を出す姿が見られることもあり、寒冷地の水族館ならではの飼育環境そのものが展示の一部になっています。
食事時間が引き出す、海獣の個性
アザラシとペンギンのお食事時間では、ゴマフアザラシのボール遊びやジャンプ、鼻先を使った動きなど、飼育員とのやりとりを通して知能や身体能力を観察できます。エサやり体験では、アザラシが水しぶきを上げながら近づく迫力があり、来館者は「かわいい」だけではない海獣の反応速度や食欲、個体ごとのアピールの違いに気づけます。稚内周辺でも野生のゴマフアザラシが見られることを踏まえると、ここでの展示は、地域の海に暮らす大型哺乳類を身近に理解する入口になっています。
