施設の特徴
三笠市立博物館の特徴
日本一のアンモナイト展示で、白亜紀の海を読む
三笠市立博物館は、北海道産アンモナイトを主役にした化石展示で知られる博物館です。展示室1「白亜紀の世界と化石」には、北海道で見つかったアンモナイトを中心に約1,000点の化石が並び、そのうちアンモナイトは約190種・約600点。公式にも「日本一のアンモナイト博物館」と紹介されており、国内でこれほど多くのアンモナイトをまとめて見られる施設として突出しています。三笠周辺を含む蝦夷層群は、白亜紀の海で堆積した地層で、アンモナイト、イノセラムス、首長竜、モササウルスなど多様な海の生き物の化石を産出する場所。ここでは、単なる“きれいな化石”ではなく、北海道がかつて豊かな海だったことを、生物群そのものから実感できます。
触れる大型化石と、進化を見せる立体的な展示
展示方法の魅力は、標本数の多さだけではありません。白亜紀の海中をイメージした青い展示室の中で、アンモナイトは科や属、生息時代ごとに整理され、殻の形・縫合線・巻き方の違いを見比べながら進化を追える構成になっています。とくに、実物標本でつくられたアンモナイトの系統図は、国内では他に例を見ない立体的な展示とされ、分類の考え方まで直感的に理解できるのが特徴です。展示室中央には直径50〜130cmほどの大型アンモナイトが多数置かれ、表示のある一部を除いて手で触れることもできます。さらに、直径2.5mの世界最大級アンモナイトの実物大イメージ模型や、泳ぎ方を再現したCG映像もあり、化石から生きていた姿を想像する導線がしっかり作られています。
エゾミカサリュウが示す、三笠ならではの海生爬虫類研究
アンモナイト以外で見逃せないのが、三笠市で発見されたエゾミカサリュウです。これは国指定天然記念物となっているモササウルス類の頭骨化石で、のちにタニファサウルス・ミカサエンシスという新種として正式に発表されました。国内で見つかったモササウルス頭骨として保存状態のよい標本のひとつとされ、三笠の名前を学名に残す、施設の固有性を象徴する生物資料です。近年は、モササウルス類研究者の監修と海洋堂の造形技術によるエゾミカサリュウ全身復元模型も加わり、頭骨化石だけでは分かりにくい体の形、歯、顎、筋肉のつき方まで、最新の研究成果に基づいて見られるようになっています。北海道の白亜紀の海を、アンモナイトだけでなく大型捕食者の存在まで含めて理解できる点が、この博物館の大きな強みです。
採集・クリーニング・収蔵がつなぐ、化石を守る技術
生きた動物の繁殖・飼育を行う施設ではありませんが、三笠市立博物館では、化石を採集し、クリーニングし、同定し、収蔵・研究する技術が生物資料を支えています。自然観察講座では、白亜紀の蝦夷層群が露出する川沿いで、アンモナイトや二枚貝、海生爬虫類などの化石を含むノジュールを観察し、帰館後には化石の周囲の余分な石を取り除くクリーニングも体験します。普段は化石採集が禁止されている場所に、教育普及目的で許可を得て入る形をとっており、採る楽しさだけでなく、地層と化石を保護しながら学ぶ姿勢も伝わります。開館45周年後には、収蔵庫のアンモナイトを月ごとに紹介する企画も行われており、展示室に出ていない標本まで研究・公開につなげる、化石博物館ならではの“標本を育てる”活動が息づいています。
