施設の特徴
日高山脈博物館の特徴
氷河時代から続く山の生きものを読む
日高山脈博物館は、日高山脈を地質・岩石の視点から読み解くジオ・ミュージアムですが、生物展示の核は「山ができ、氷河におおわれ、その後に森と動植物がすみついた」という時間の流れにあります。3階の「日高山脈の自然」では、氷河期に北海道へ渡ってきた生きものの例としてエゾナキウサギを取り上げ、寒冷な高山環境に残った“氷河時代の生き残り”として紹介しています。さらに高山植物や北海道の森林も扱い、日高山脈襟裳十勝国立公園のような大きな自然景観の中で、動物・植物がどのように分布しているのかを考えられる展示です。
ジオラマ・模型・樹木標本で、生息環境ごと見せる
展示方法の特徴は、生きものだけを切り出さず、氷河地形、森林、岩石、標高差を一体で見せることです。ポロシリ岳周辺のカール地形は模型で示され、日高山脈中部域のジオラマでは山並みと地形の広がりを俯瞰できます。森林展示では樹木標本に触れ、木肌や切り口を比べながら、北海道の森林と本州の森林の違いや、同じ北海道内でも条件によって植生が変わることを体感できます。日高山脈は北海道で氷河地形を代表的に観察できる山域として紹介されており、その地形がナキウサギや高山植物の背景になっていることを、標本と模型を通してつかめる構成です。
化石から、かつての海の生物までたどる
生物の時間軸は、現在の森や高山帯だけにとどまりません。2階では、日高山脈ができる前にこの地域が海だったことを示す資料として、白亜紀ごろのアンモナイト、イノセラムス、サンゴなどの化石が展示されています。現在は山のイメージが強い日高町で、海にすんでいた生物の化石が見つかるというギャップは、この館ならではの魅力です。地質や岩石が主役に見える展示も、化石を通して読むと「昔どんな生物が暮らし、どんな環境があったのか」を想像する入口になります。
飼育ではなく、観察・採集・保全の視点で学ぶ
日高山脈博物館は、生体を飼育繁殖して見せる施設ではありません。その代わり、野外で生物を観察し、環境との関係を学ぶ活動が充実しています。自然体験プログラムでは、昆虫などを観察・採集しながら生きものの役割やつながりを学ぶ「日高の生き物観察会」や、森を歩いて小さな生きもの、木の実、木々の冬支度を探す「秋の森探検」などを実施しています。展示室でナキウサギや高山植物、森林の成り立ちを知り、フィールドで実際の生物を探す流れがあるため、日高山脈の自然を“見る”だけでなく、“守りながら観察する”視点まで持ち帰れる博物館です。
