施設の特徴
小樽市総合博物館の特徴
小樽の海・森・昆虫を、地域標本で読む
小樽市総合博物館は、本館と運河館をあわせて小樽の歴史・科学・自然を扱う施設で、生物展示の中心は運河館の「小樽の自然」です。海と山が近い小樽ならではの立体的な環境を背景に、ヒグマ、キタキツネ、トド全身骨格、昆虫標本、植物など、千種類以上の動植物を標本や写真で紹介しています。とくに、銭函海岸に漂着した野生個体のトド全身骨格は、小樽の海に大型海獣が関わってきたことを実感できる象徴的な標本です。全国規模の珍獣展示ではなく、小樽市域・後志地域の自然を濃く掘り下げる地域密着型の自然史展示として魅力があります。
ジオラマと標本で「小樽の森」を立体的に見せる
展示方法の特筆点は、標本を単にケースに並べるだけでなく、ジオラマや写真を組み合わせて、小樽の自然を風景ごと理解できるようにしていることです。第二展示室には「小樽の森」を表すジオラマがあり、ヒグマやキタキツネなどの動物標本、昆虫標本群とあわせて、海岸から山地まで変化する生息環境を一続きの地域生態系として見られます。昆虫は小樽に生息する代表的な種類を広く集めたコレクションとして紹介され、アオカナブンやクワガタ類のような身近な種も、地域の自然を構成する大切な存在として見直せる展示になっています。
調査と標本保存で、小樽の生物相を未来に残す
この館の生物分野で重要なのは、生きた動物の繁殖展示ではなく、地域の生物相を調査し、標本として蓄積していく博物館活動です。小樽市総合博物館では1991年から市内生物相調査を継続し、小樽の自然の特徴や成り立ちを考えるための証拠として標本を集めています。さらに国立科学博物館が運営するサイエンスミュージアムネットへも標本情報を提供し、これまでに16,000件の標本を登録しています。展示室で見られる約2,000点の自然史資料は、その長年の調査・収集の一部であり、来館者は「いま目の前にある標本」が小樽の自然を記録する研究資料でもあることを感じられます。
