施設の特徴
足寄動物化石博物館の特徴
海の哺乳類化石でたどる足寄の古生物
足寄動物化石博物館は、足寄町茂螺湾から見つかった海生哺乳類化石を軸に、約2,800万〜2,400万年前の北海道の海を読み解く博物館です。展示の中心は、デスモスチルスの仲間で最も古いタイプとされるアショロア・ラティコスタと、パレオパラドキシアの祖先にあたるベヘモトプス・カツイエイ。どちらも足寄で発見された束柱類で、太い脚をもつ不思議な海辺の哺乳類として紹介されています。さらに、足寄産のハクジラ・ヒゲクジラ化石や、現生のクジラ類の骨格標本も並び、北海道内でも海生哺乳類の進化に特化して学べる個性が際立っています。
骨格を見比べて、進化の道筋を読む
展示方法の魅力は、化石を単体で眺めるだけでなく、復元骨格や産出状況の再現を通して、かつての生きものの姿と環境を想像できることです。最初に発見された「足寄第1標本」は、発掘時の状態を再現したレリーフで紹介され、化石がどのように地層の中に残っていたのかが伝わります。館内ではアショロア、ベヘモトプス、デスモスチルスを比較しながら、束柱類という絶滅哺乳類の体つきや進化を追える構成です。加えて、ミンククジラ、コククジラ、ツチクジラ、マッコウクジラ、シャチ、ネズミイルカなどの骨格標本もあり、古いクジラ化石から現生種までを見比べることで、「海に戻った哺乳類」の変化を立体的に理解できます。
化石を保存し、研究し続ける専門館
生体の繁殖や飼育を見せる施設ではありませんが、足寄動物化石博物館の生物への向き合い方は、化石を発掘し、保存し、研究成果として公開することにあります。アショロアは1976年に足寄で最初に見つかった化石をもとに命名され、ベヘモトプスとともに足寄町指定の天然記念物にもなっています。館では足寄動物群の標本を蓄積し、所蔵化石標本データベースも公開しており、地域で発見された化石を研究資源として未来へ残しています。生きものを増やす飼育技術とは異なりますが、絶滅した海生哺乳類の姿を標本として守り、進化の研究につなげる自然史博物館としての役割が大きな魅力です。
体験を通して、化石が資料になる過程に近づく
足寄動物化石博物館では、展示を見るだけでなく、ミニ発掘や化石レプリカづくり、古生物模型づくりなどを通して、化石を扱う手ざわりにも触れられます。アショロアやデスモスチルスの臼歯、アンモナイト、三葉虫などを題材にしたレプリカづくりは、化石の形を観察し、標本として残す感覚をつかむ入口になります。石の中から化石や鉱物を探す体験も、発掘されたものが研究資料や展示資料になっていく流れを想像させてくれます。足寄の化石を通して、太古の海に生きた哺乳類を「見る」だけでなく、「調べ、残す」面白さまで味わえる博物館です。
