施設の特徴
鹿児島県立博物館の特徴
南北600kmの自然が生んだ、鹿児島ならではの生物多様性
鹿児島県立博物館は、鹿児島県の南北約600kmに広がる自然を総合的に紹介する自然史系博物館です。展示の主役は、黒潮が運ぶ海の生きもの、奄美・徳之島など南西諸島の固有種、屋久島や霧島の山地に生きる動植物、川や湖沼の湿地生態系まで、県内の環境差そのものが育んだ生物多様性です。奄美大島の森の展示では、アマミノクロウサギやルリカケスなど天然記念物の動物が登場し、アマミノクロウサギは奄美大島・徳之島だけに生息する日本固有種として紹介されています。県内で採集された魚を展示する水槽や、シマヘビ、キノボリトカゲなどの生体展示もあり、標本だけでなく「鹿児島に実際に生きている生物」を入口から感じられる構成です。
ジオラマと触れる展示で、生息環境ごと理解する
展示方法の魅力は、生物を単体で並べるのではなく、海・山・川・湖沼という環境ごとに見せる点です。「鹿児島の海」では、黒潮に沿って移動するバショウカジキやキハダマグロ、サンゴ礁、岩礁海岸、砂浜のアカウミガメの産卵をジオラマや映像で紹介。「鹿児島の山」では、奄美大島の原生林、トカラ列島の渡瀬線、屋久島の高層湿原、霧島の植物垂直分布を扱い、同じ県内でも生物相が大きく変わることが伝わります。さらにディスカバリールームでは、クジラの本物のあご骨、貝殻、昆虫、鳥の鳴き声、植物の手触りなどを五感で比べられ、県内でも自然史を「触って確かめる」学習展示として親しみやすい場になっています。
生体飼育と調査研究が支える、地域の自然への理解
繁殖実績を前面に出す施設ではありませんが、飼育・研究の軸では、1階の飼育動物展示が重要です。鹿児島県内で採集された魚を大水槽や廊下の水槽で維持し、爬虫類も含めて生きた状態で観察できるため、標本展示だけでは分かりにくい体色、動き、すみ場所への適応を学べます。また、館は鹿児島県内の自然を継続的に調査・研究し、その成果を研究報告や「鹿児島の自然だより」として発信しています。単に過去の標本を保存するだけでなく、現在の鹿児島の動物・植物・昆虫・地質を追い続け、展示や学校・県民向けの情報提供へつなげている点が、県立自然史博物館としての大きな強みです。
化石から現生生物まで、生命の時間軸を広げる
別館の化石展示室では、アロサウルスとカンプトサウルスの全身骨格標本が展示されており、その60〜70%が実物化石で構成される標本は国内でもきわめて少ないものとされています。さらにアンモナイト、三葉虫、ウミユリなど南北アメリカ大陸産の化石標本も多数並び、三葉虫では種類の違いから進化や生態の変化を読み取れます。現生のアマミノクロウサギやルリカケスを通じて鹿児島の固有性を学び、化石展示で生命の長い歴史へ視野を広げられるのが、鹿児島県立博物館ならではの生物体験です。
