施設の特徴
大淀川学習館の特徴
アカメからチョウまで、大淀川流域の生きものを主役に学ぶ
大淀川学習館は、大淀川の浄化活動と学習のシンボルとして設けられた、宮崎市の河川生態系に特化した学習施設です。展示の核は、大淀川流域にすむ魚、水生生物、昆虫、野鳥、植物。なかでも生体展示ホールでは、大淀川を代表する魚として紹介されるアカメをはじめ、ヤマメ、ドンコ、タカハヤ、オイカワ、カワムツ、ギンブナ、ニゴイ、コトヒキ、キチヌなど、上流・中流・河口域で見られる魚の違いをたどれます。アカメは宮崎県の川や四国の川で見られる魚として紹介され、赤く光る目と、近年数が少なくなっている点が印象的です。宮崎市内で、地域の一級河川にすむ生きものをここまで川の環境ごとに見せる施設として、川の生物入門に向いた存在です。
水槽・チョウ温室・野外観察をつなぐ展示構成
展示方法の魅力は、屋内水槽だけで完結しないところにあります。1階には「生体展示ホール(サカナのへや)」「自然楽習園(チョウのへや)」「ホタル展示室(ホタルのへや)」「川のシアター」などが並び、魚の泳ぐ水中世界、チョウが飛ぶ植物空間、ホタルの生活史を別々の切り口で見られます。自然楽習園では、ジャコウアゲハ、キアゲハ、アゲハ、ツマグロヒョウモン、イシガケチョウ、モンシロチョウ、キチョウ、アサギマダラなどの生態を、食草や幼虫、交尾・産卵行動と結びつけて紹介。さらに屋外の「水辺の楽校」「里山の楽校」では、もとの自然をできるだけ残した環境で観察できるため、展示室で見た生きものを実際の水辺や草地の風景へつなげて理解できます。
チョウを育てる技術まで見せる、飼育教育の場
繁殖・飼育の面では、チョウの生活史をかなり具体的に扱っている点が特徴です。大淀川学習館の図鑑では、カバマダラの飼育法として、食草の鉢にネットをかけて採卵する方法、幼虫を1匹ずつ透明容器に移して共食いや傷つきを避ける管理、さなぎになった後に古い餌を取り除いてカビを防ぐ手入れ、羽化後に薄めた砂糖水などを与える成虫管理まで紹介しています。アサギマダラについても、産卵からおよそ1週間でふ化し、殻から出るまで時間をかける様子が記録されています。単に「きれいなチョウを見る」だけでなく、卵・幼虫・さなぎ・成虫を支える食草管理まで学べる点は、飼育教育施設としての大きな魅力です。
観察と体験で、川の環境保全を自分ごとにする
同館のコンセプトは、生きものを通じて大淀川の環境を考えることにあります。水辺の教室や里山の教室では、メダカの飼育、昆虫標本づくり、カブトムシの飼育、チョウが集まる植物の植栽など、生きものとの関わりを深める企画も行われています。大淀川図鑑には魚や昆虫だけでなく、帰化植物、野草、野鳥、アカウミガメと大淀川河口域の関係まで収録され、川の水質や流域環境が海岸の生物にもつながることを伝えています。大淀川学習館は、宮崎の川にすむ生きものを「見る」「育て方を知る」「野外で探す」まで一続きに体験できる、地域密着型の生物学習館です。
