施設の特徴
たびら昆虫自然園の特徴
里山そのものを展示する、長崎県内でも個性的な昆虫観察施設
たびら昆虫自然園の主役は、ケースに収められた昆虫だけではありません。畑、小川、池、雑木林、草はらといった昔ながらの里山環境を再現し、そこに集まる昆虫や小さな生きものを自然のまま観察する施設です。長崎県の観光情報でも、年間を通じて30〜60種類の昆虫を観察できる施設として紹介されており、県内の昆虫系施設の中でも「生きた昆虫を野外環境ごと見る」点が大きな個性です。昆虫館では、田平・平戸にすむ約4,000種類の昆虫のうち約200種類の標本や、烏山邦夫氏寄贈の「世界の昆虫」標本を展示し、地域の虫と世界の虫を見比べられます。
水辺・畑・草地・林地で、昆虫の居場所を探す展示方法
展示方法の魅力は、4.1haの敷地を「池・水辺」「畑・花壇」「草地・裸地」「林地」の4ゾーンに分け、昆虫の暮らしと環境を結びつけて見せていることです。水辺ではアメンボ、タイコウチ、ハイイロゲンゴロウ、ギンヤンマなど、畑や花壇ではモンシロチョウ、アゲハ、ハナバチ、トノサマバッタなど、草地ではショウリョウバッタやキリギリス、林地ではノコギリクワガタやカブトムシなどを探せます。標本名を覚えるだけでなく、「なぜこの虫はここにいるのか」を足元の草、水草、樹木、花と一緒に理解できるのが、この園ならではの観察体験です。
飼育ケースよりも、すみかを整えて命をつなぐ
繁殖・飼育の面では、個別の昆虫を大量に飼育して見せるというより、昆虫がすみつき、世代をつなげる環境を整えることに力点があります。水辺には池と水路を設け、スイレン、ショウブ、マコモなどの水草を植え、畑には野菜や果樹を育て、草地にはススキやヨモギなどを残し、林地にはクヌギ・コナラ林やマテバシイ林などを配置しています。幼虫が葉を食べ、成虫が花や樹液に集まり、水生昆虫が水面や水中で暮らすという一連のサイクルを、施設全体で支える設計です。
解説員と歩くことで、虫の“見つけ方”まで学べる
園内では解説員の案内を受けられるため、初めて訪れる人でも、葉の裏の幼虫、水面の小さな動き、草むらに潜むバッタ類などを見つけやすくなります。昆虫館は野外観察の前後に学ぶ場として位置づけられ、生態写真、生態展示、映像資料を通して、外で見た虫の名前や暮らしを確認できます。2020年代には「子どもたちが生物多様性に触れられる里山を未来へ」という趣旨で環境整備も進められており、たびら昆虫自然園は、昆虫を“展示物”ではなく、地域の里山に息づく生きものとして観察できる場所です。
