施設の特徴
鳥取県立博物館の特徴
砂丘・大山・日本海の生きものを県域で見渡す
鳥取県立博物館は、鳥取県の大地の成り立ちから、鳥取砂丘、大山、中国山地、日本海に関わる生物までを一続きに紹介する総合博物館です。自然史展示では、夏に砂表面が50度を超えることもある鳥取砂丘に適応したオオウスバカゲロウ、カワラハンミョウ、ヤマトマダラバッタ、イソコモリグモなどを扱い、大山ではダイセンキスミレ、キャラボク、ダイセンオサムシなど、山陰の多雪環境や独立峰ならではの生物に目を向けられます。さらに、エントランスでは日本海側で漂着記録が多いオウギハクジラの雌雄骨格標本を間近に見られ、鳥取県の海・砂丘・山の生物相を県内規模でまとめて学べる施設です。
ジオラマと標本で、生息環境ごとに見せる
展示方法の特徴は、生物を単独の標本として並べるだけでなく、すみかとなる環境と結びつけて見せることです。鳥取砂丘のコーナーでは、砂丘植物や外来植物、砂地にすむ昆虫を紹介し、乾燥・高温・砂の移動という厳しい条件の中で生きる姿を考えられます。大山の展示では、多雪や季節風がつくる植生の特徴を背景に、昆虫・植物・菌類を関連づけて観察できます。中国山地の展示では標高400m付近の環境をジオラマで再現し、暖地性の樹木からブナ林まで、標高差に応じて生物が変わることを立体的に理解できる構成です。
世界最大級のオオサンショウウオ標本を守る
繁殖や飼育を主役にする施設ではありませんが、鳥取県立博物館の生物への向き合い方は、地域で得られた標本を保存し、研究・教育に活かすことにあります。特にオオサンショウウオのコーナーでは、日本固有で国の特別天然記念物でもあるこの両生類を詳しく紹介し、死亡時に全長143cm、体重44.3kgだった世界最大級の標本を展示しています。生きた個体の飼育展示とは異なりますが、個体の大きさ、体のつくり、河川生態系における存在感を、標本として長く観察できる点に大きな価値があります。
人間活動と野生生物の関係まで考えられる
鳥取県立博物館の自然史展示は、「珍しい生きものを見る」だけで終わりません。人間活動と野生生物の展示では、開発による生息地の分断や破壊、廃棄物による汚染、外来生物による生態系のかく乱といった問題を扱い、カミツキガメの剥製などを通して、人の行動が在来生物に与える影響を考えられるようになっています。鳥取砂丘では外来植物の定着と除草活動も紹介され、砂丘景観を保つことが、そこにすむ昆虫や植物の環境を守ることにもつながると分かります。鳥取県立博物館は、標本とジオラマを入口に、鳥取の自然を調べ、残し、どう共存するかまで視野を広げてくれる博物館です。
