施設の特徴
おもしろ昆虫化石館の特徴
250万〜300万年前の昆虫が主役の、国内でも珍しい化石館
おもしろ昆虫化石館は、新温泉町海上地区の春来泥岩層などから見つかった昆虫化石・植物化石を中心に紹介する、日本で初めての昆虫化石博物館です。展示の核になるのは、チョウ、シロアリ、ヒメバチ、ケバエ、トンボのヤゴ、コガシラアブ、ホタルの仲間、アワフキムシなど、現在の身近な昆虫に通じる姿を残した小さな化石たち。なかでも、収蔵・展示されてきたチョウ化石「カミタニオニミスジ」は、約250万年前の地層から見つかった新種で、オニミスジ属として世界初の化石報告、さらに翅を広げた大きさが推定80mm超に達する世界最大級のチョウ化石として注目されています。
虫めがねで“石の中の昆虫”を探す展示方法
この館の面白さは、巨大標本で圧倒するのではなく、石の表面に残った翅や脚、体の輪郭を自分の目で探し当てる展示方法にあります。昆虫化石は小さいため、展示ケースには虫めがねを使って拡大観察できる工夫があり、口コミでも「一品一品をじっくり見られる」点が印象として挙げられています。館内には、化石解説パネル、地層レプリカ、立体映像、採集道具、化石クイズ、採集テーブルなどが置かれ、「見る・探す・学ぶ」を通じて、昆虫がどう泥に閉じ込められ、長い時間を経て化石になるのかをたどれる構成です。兵庫県内で、昆虫化石をここまで主題化して観察できる施設はきわめて貴重です。
新種発見につながる、収蔵と研究の力
生きた昆虫を繁殖展示する施設ではありませんが、おもしろ昆虫化石館の価値は、標本を長く保管し、研究につなげる「化石の飼育」ともいえる資料管理にあります。開館当初から展示されていた標本が後年の研究で新種と分かった例が続き、カミタニオニミスジに加えて、約250万年前の地層から見つかったミツバチ化石も「タジマミツバチ」と命名されました。この化石はミツバチ亜属として世界最古級の化石、かつ国内では非常に少ないミツバチ化石の例として報告され、現生ミツバチの進化を考える重要な手がかりになっています。
昆虫と植物から、太古の但馬の環境を読む
展示には昆虫だけでなく、アキニレ、カエデ、ハルニレ、イタヤカエデ、ブナなどの植物化石も並びます。昆虫化石と植物化石を合わせて見ることで、当時の新温泉町周辺にどのような森や水辺があり、そこにどんな昆虫が暮らしていたのかを想像できるのが魅力です。小さな羽アリやカゲロウの幼虫を観察したあとに植物化石を見ると、単独の標本ではなく、約250万〜300万年前の生態系の断片として立ち上がってきます。恐竜や大型哺乳類ではなく、身近な虫の姿から地球史を読む、全国的にも個性のはっきりした化石館です。
