施設の特徴
佐用町昆虫館の特徴
千種川流域の小さな生きものを、手の届く距離で見る
佐用町昆虫館は、NPO法人こどもとむしの会が2009年から運営する、兵庫県西部・船越山麓の自然に根ざした昆虫館です。展示の中心は、遠い国の珍虫を並べることよりも、佐用町や千種川流域で出会える虫や水辺の生きものを、子どもが自分の目で確かめられる距離に置くこと。館内では周辺で採れた昆虫標本に加え、千種川流域の魚、ゲンゴロウなどの水生昆虫、ナナフシ、スズムシなどを紹介し、季節によってはカブトムシ、クワガタムシ、チョウ、トンボ、イモリ、カエル、ヤゴ、オタマジャクシなどにも出会えます。県内の大規模展示館とは違う、地域の普通種まで主役にする姿勢がこの館の個性です。
「展示室」より「虫と出会う場所」をつくる展示方法
展示方法の特徴は、生体をケース越しに眺めるだけで終わらせないことです。館内の「千種川生きものライブ」では魚や水生昆虫を水槽で見せ、「スタディらぼ」や「むしむしテーブル」では、あまり飛ばない虫をスタッフの説明を受けながら触って観察できます。屋外にはアメンボのいる池、イモリやカエルが顔を出す池、オタマジャクシやヤゴのいる水路があり、さらに網舎の「ちょうちょひらひらハウス」ではチョウやトンボの翅を傷めない触れ方まで学べます。周辺には虫とりポイントが細かく示され、黒いアゲハ類、カミキリムシ、ハンミョウ、バッタ、カマキリなどを探す体験へ自然につながる構成です。
飼育よりも「生息環境ごと支える」管理が見どころ
佐用町昆虫館は、特定種の大規模繁殖を前面に出す施設ではありません。その代わり、虫や水辺の生きものを季節の循環の中で扱う飼育・管理がよく見えます。冬の間、展示していた生きものは放すか、スタッフが自宅で預かって春を待つ方針が示されており、標本は湿度の高い谷間の環境に合わせてカビを取り除き、水槽のフィルターや池の落ち葉も手入れされています。屋外の「はっぴーがーでん」では、虫が好む植物を植え、池もつくり、バッタ、キリギリス、チョウ、テントウムシなどが集まる環境を育てています。モリアオガエルやシュレーゲルアオガエルが産卵に来る池もあり、飼育ケースの中だけでなく、昆虫館の庭そのものを小さな生息地として維持している点が魅力です。
触る・調べる・採るまでつながる体験型の昆虫館
補助的な体験も、生きもの理解に直結しています。虫とりアミやかごを借りて庭や周辺で虫を探し、捕まえた虫をデジタルマイクロスコープで拡大観察し、図鑑で名前を調べ、分からないことはスタッフに聞けます。魚へのエサやり、イモリのタッチプール、標本を見ながらのお絵かき、少人数制の昆虫標本づくりなど、体験の入口が多いのも特徴です。口コミでも、スタッフの解説の親しみやすさや、生きた虫が身近に感じられる点が評価されています。佐用町昆虫館は、虫を「展示物」として見る場所というより、地域の自然の中で虫と出会い、触れ方を覚え、観察の目を育てるための秘密基地です。
