施設の特徴
福井県自然保護センターの特徴
六呂師高原の湿原・森・水辺に息づく生物を学べる
福井県自然保護センターは、六呂師高原の自然そのものを展示対象にした、県内でも自然保護色の強い博物館型施設です。本館の展示室では、福井の自然を標本・パネル・ジオラマで紹介し、特に県内で絶滅の危機にある生物を剥製などの実物標本で見られる点が大きな特徴です。屋外の自然観察の森では、約28ヘクタールの中に湿原、雑木林、アカマツ林、池、せせらぎが広がり、妻平湿原のミツガシワ、カキラン、トキソウ、馬取池のモリアオガエル、トンボの池のエゾイトトンボやオオルリボシヤンマなど、福井の里山・湿原環境に結びついた生物を季節ごとに観察できます。なかでも妻平湿原は、氷河期の名残とされるミツガシワが県内で最も多く見られる場所として紹介されており、地域性のある植物展示としても見応えがあります。
標本と野外観察をつなげる展示構成
展示方法は、館内で知識を得てから森へ出る流れがつくられているのが魅力です。本館では、六呂師高原と自然観察の森を500分の1スケールの立体模型で示し、季節にあわせて森で見られる生物の実物標本を紹介しています。さらに「福井の水辺を考える」では、かつての水田や小川、ため池をジオラマで再現し、「刈込池のブナ林」では倒木と周辺環境を再現して、森の成り立ちや生き物同士のつながりを読み解けるようにしています。屋外では、遊歩道を歩きながら湿原の花、池のモリアオガエルの卵塊、野鳥、トンボなどを観察でき、冬には餌台に集まるヤマガラやシジュウカラを室内から間近に見る「冬の野鳥レストラン」も実施されます。標本を見るだけで終わらず、実際の環境で行動や季節変化を確かめられる点が、福井県内の自然学習施設としての強みです。
救護・保全を通して野生動物との距離感を伝える
繁殖展示を前面に出す施設ではありませんが、福井県自然保護センターは野生生物の保護と救護の考え方を学べる拠点です。福井県では獣医師会と協力し、人為的な原因で傷ついたり病気になったりした野生鳥獣について、捕獲できる管理員の手配、動物病院での治療、センターでのリハビリ、野生復帰までを行っています。一方で、自然界で起こる出来事にはむやみに手を出さないという方針も明示しており、保護することと見守ることの線引きを学べるのがこの施設らしい点です。展示室の絶滅危惧生物コーナーや、福井県レッドリストに関する情報、自然観察会「森の住人 モリアオガエル」のようなプログラムを通じて、来館者は生物を単に「見る」のではなく、環境ごと守る視点まで持ち帰ることができます。
