施設の特徴
北杜市オオムラサキセンターの特徴
国蝶オオムラサキを一年通じて追える、全国一の生息地の拠点
北杜市オオムラサキセンターは、国蝶オオムラサキの全国一の生息地とされる北杜市長坂町にある、オオムラサキを主役にした昆虫館です。オオムラサキは翅を広げると10cmを超える大型のタテハチョウで、雄だけが紫色に輝く翅をもつのが大きな特徴。成虫が見られるのは夏の短い期間ですが、ここでは卵、幼虫、蛹、成虫へと続く一生を、季節ごとに追って観察できます。館内にはオオムラサキだけでなく、ヘラクレスオオカブト、アレクサンドラトリバネアゲハ、モルフォチョウ、プラチナコガネ、タイタンオオウスバカミキリなど、国内外の昆虫標本約1万点も展示され、日本の里山のチョウと世界の昆虫の大きさ・色・形を見比べられます。
「びばりうむ長坂」で、チョウが舞う里山をまるごと観察する
展示方法の核は、生態観察施設「びばりうむ長坂」です。網で囲われた空間の中で、オオムラサキが食樹のエノキを利用しながら育つ様子を見られ、夏には多数の成虫が舞う光景を間近に観察できます。標本室で止まった姿を見たあとに、びばりうむで飛ぶ、樹液に集まる、交尾・産卵へ向かうといった行動を見られるため、オオムラサキを「美しいチョウ」としてだけでなく、里山の生態系の一員として理解しやすい構成です。周囲には約6haのオオムラサキ自然公園が広がり、雑木林、棚田、水辺にすむカブトムシ、ホタル、水生昆虫なども観察対象になります。館内のジオラマや標本展示、屋外の自然観察がつながることで、昆虫を展示ケースの中だけに閉じ込めない見せ方になっています。
エノキと里山を守り、命のサイクルを次世代へつなぐ
繁殖・飼育の面で特筆したいのは、オオムラサキの生活史を支える環境ごと守っている点です。オオムラサキは夏にエノキへ産卵し、幼虫はエノキの葉を食べて成長し、秋には木の根元の落ち葉で越冬します。春に再びエノキへ登り、葉裏で蛹になり、初夏に羽化するというサイクルを持つため、チョウだけを守るのではなく、エノキ、落ち葉、雑木林、湿度のある里山環境まで必要になります。センターではオオムラサキの保全活動や里山の保全・再生に取り組み、観察会、虫とり体験、夜の昆虫観察会、チョウやクワガタの標本づくり、オオクワガタの幼虫飼育講座なども実施。生きた昆虫にふれ、育ち方を知り、標本として残す体験まで用意されているので、昆虫好きの子どもにも、大人の自然観察にも深く刺さる施設です。
