施設の特徴
神奈川県立生命の星・地球博物館の特徴
巨大標本から豆粒ほどの昆虫まで、生命46億年の多様性を実物でたどる
神奈川県立生命の星・地球博物館は、46億年にわたる地球の歴史と生命の多様性を、約1万点の実物標本で見せる自然史博物館です。生物展示でまず圧倒されるのは、恐竜、翼竜、首長竜、マッコウクジラ全身骨格、ゾウ類、魚類、鳥類、昆虫など、体の大きさも時代もまったく異なる生物が同じ「生命の進化」の流れに置かれていること。相模湾の展示では、オキナエビスのような「生きている化石」、タカアシガニ、深海性の貝類なども扱われます。相模湾は日本の領海のわずか0.5%ほどの面積ながら、黒潮、深い海底地形、多様な海岸環境が重なる日本有数の海の生物の宝庫として紹介され、神奈川ならではの海の多様性を実感できます。
ジャンボブックと環境別展示で、生物を“図鑑の中”と“自然の中”から見る
展示方法の大きな特徴は、標本を単に分類順に並べるのではなく、進化、環境、地域という複数の読み方を用意している点です。「生命を考える」では、魚類、鳥類、昆虫、クジラ、ゾウ、霊長類などを、海から陸へ、恐竜から哺乳類へという時間軸でたどれます。一方、「神奈川の自然を考える」では、丹沢が南の海にあった時代のパレオパラドキシアやデスモスチルス、氷期のナウマンゾウ、相模湾の海洋生物、神奈川の山野の生き物を、県土の成り立ちと結びつけて見せます。さらに「ジャンボブック」は、部屋全体を巨大な実物百科図鑑に見立てた展示で、動物、植物、岩石、鉱物、化石をページをめくるように探せる構成。標本を眺めるだけでなく、自分で調べながら生物の特徴に近づけるのが魅力です。
標本保存・調査研究で、神奈川の生物記録を未来へ残す
この館は生きた動物の繁殖展示を主役にする施設ではありませんが、生物を研究資料として守り、次世代へ引き継ぐ技術と体制に強みがあります。学芸員は県内各地を中心にフィールド調査を行い、昆虫、植物、魚類、貝類、甲殻類などの標本を継続的に収集。寄贈資料も多く、カニ類の酒井コレクション、貝類の鹿間コレクション・野村コレクションなど、分類研究に使われてきた標本群が展示と研究を支えています。昆虫標本はドイツ型標本箱で保管され、害虫やカビを防ぐ管理も行われます。神奈川昆虫談話会や神奈川県植物誌調査会など地域の専門家・愛好家との連携、丹沢大山総合調査やレッドデータ生物調査への参加もあり、標本を見る楽しさの奥に、神奈川の生物多様性を調べ続ける自然史研究拠点としての厚みがあります。
