施設の特徴
埼玉県立自然の博物館の特徴
メガロドンから県内の森の生きものまで、埼玉の生命史をたどる
埼玉県立自然の博物館は、「過去から未来へ埼玉3億年の旅」をテーマに、埼玉の自然を化石・鉱物・動植物から見つめる自然史博物館です。生物展示でまず印象に残るのは、約1,500万年前に秩父盆地が海だった時代を伝える巨大ザメ「カルカロドン メガロドン」の復元模型と、海獣「パレオパラドキシア」の骨格標本。現在は山深い秩父地域が、かつて海の生きものの舞台だったことを、体の大きさから実感できます。さらに、生物展示ホールでは埼玉を代表する森林とそこにすむ動物を扱い、キツネ、イノシシ、ムササビ、ホンシュウジカ、ニホンザル、ツキノワグマ、コウモリ類など、県内の地形や植生に応じた生きものの姿を見られます。
高さ8メートルの大ジオラマで、森の季節と標高差を歩いて観察する
展示方法の特筆点は、埼玉の森林を高さ8メートルの大ジオラマで再現していることです。冬枯れの雑木林と池や沼、夏のアカマツ林、ブナ林と渓流、石灰岩地の鍾乳洞、奥秩父の原生林などが場面ごとに展開し、来館者は森の中に入り込むような感覚で動植物を探せます。たとえば、アカマツ林ではキツネがネズミを狙う場面、ブナ林では渓流にすむヤマメやイワナ、岩場に現れるニホンザル、鍾乳洞では暗黒環境に適応したコウモリ類が紹介されます。単体の剥製を並べるのではなく、季節、時刻、標高、地形によって生物相が変わることを立体的に見せる構成は、県内の自然を学ぶ博物館ならではの魅力です。
飼育ではなく標本を守り、地域の生物記録を未来へつなぐ
この施設は、動物園や水族館のように繁殖・飼育を主目的にする場所ではありません。その代わり、自然史標本を集め、保存し、研究や教育へつなげることが大きな役割です。登録済み収蔵資料は総計16万点を超え、植物資料だけでも8万点以上、動物資料も6万点以上にのぼります。哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、昆虫類、無脊椎動物に加え、植物化石や脊椎動物化石なども蓄積されており、過去の生物から現在の埼玉の自然までを長い時間軸で記録しています。来館者にとっては、展示された標本を見るだけでなく、「その地域にどんな生きものがいたのか」を未来へ残す博物館の仕事まで感じられる場所です。
