施設の特徴
よりいトンボ自然館の特徴
寄居町だけで58種類、埼玉のトンボ相を濃く見られる
よりいトンボ自然館は、「寄居町にトンボ公園を作る会」が運営する、トンボを中心にした小さな自然館です。寄居町では58種類のトンボが記録されており、これは埼玉県全体で確認されているトンボの7割近くにあたります。ホソミオツネントンボ、ミヤマカワトンボ、モノサシトンボ、ミルンヤンマ、マルタンヤンマ、オナガサナエ、ミヤマアカネ、ハラビロトンボなど、町内の水辺や里山を反映した多様な種が紹介されるのが大きな特徴です。館内ではトンボの写真や標本のほか、ハチの標本や世界の珍しい昆虫標本も展示され、地域のトンボを入口に、昆虫全体の形やくらしの違いへ視野を広げられます。
写真・標本・公園をつなぎ、トンボを「水辺の生きもの」として見せる
展示方法の魅力は、自然館だけで完結せず、おぶすまトンボの里公園と一体でトンボを理解できることです。自然館では写真や標本で種の特徴を確かめ、公園では休耕田や耕作放棄田を整備してつくられた水辺で、実際に飛ぶトンボや周辺の生きものを観察できます。公園には見学用の遊歩道や観察場所が自然を生かした形で設けられており、トンボをケースの中の標本ではなく、池、浅瀬、草地、林縁を行き来する生きものとして捉えやすい構成です。年2回ほど行われる自然館まつりや虫採り大会も、展示室で得た知識を野外観察へつなげる参加型の学びになっています。
市民主導の水辺づくりが、ヤゴから成虫までの命を支える
繁殖・飼育面で特筆したいのは、特定の昆虫を館内で大量繁殖させるのではなく、トンボが産卵し、ヤゴが育ち、羽化できる水辺環境を地域で守ってきたことです。寄居町にトンボ公園を作る会は、市民主導の環境保全団体として35年以上活動し、これまで町内に複数のトンボ公園を整備してきました。現在もおぶすまトンボの里公園で保全・維持活動を続け、池の水位管理、浅瀬づくり、外来種対策、トンボやその他の生物のモニタリング調査などを行っています。館内の標本や写真は、こうした野外の保全活動と結びついており、来館者は「美しい成虫を見る」だけでなく、トンボの一生を支える水辺づくりの大切さまで感じ取れます。
