施設の特徴
山形県立博物館の特徴
ヤマガタダイカイギュウと山形の昆虫相をまとめて見られる
山形県立博物館は、山形県の自然と文化を総合的に扱う県立博物館で、生物展示では「山形の大地がどのように生き物を育んできたか」をたどれます。象徴的なのは、約900万年前の海にすんでいた海牛類「ヤマガタダイカイギュウ」。大江町の最上川河床で小学生2人が発見した化石で、海牛類の進化を考えるうえで世界的にも貴重とされる山形県指定天然記念物です。昆虫では、庄内地方を中心に分布するギフチョウ、内陸のヒメギフチョウ、高山蝶のベニヒカゲ、南方系のアオスジアゲハ、県天然記念物のチョウセンアカシジミなどを取り上げ、県内産のチョウ約90種、セミ10種、バッタ40種、カブトムシ・クワガタ類まで展示。山形県内の気候差や地形差が、昆虫の分布にどう表れるのかを見比べられるのが魅力です。
化石・ジオラマ・標本で、海から森へ続く山形の自然を見せる
展示方法の特徴は、生物を単独の標本としてではなく、海・森・水辺・雪という環境の流れの中で見せていることです。第1展示室「豊かな自然とそのめぐみ」では、入口正面にヤマガタダイカイギュウの全身骨格模型と化石の産状模型を置き、山形がかつて海底だった時代から現在の陸の自然へと視点を移していきます。森林の展示では、月山・朝日連峰のブナ林をモデルにしたジオラマに、食物連鎖の頂点に立つイヌワシを組み合わせ、植物と動物の関係を立体的に理解できます。植物は押し葉標本や樹木標本、模型で見せ、野鳥は草原・高山など生息環境ごとのミニジオラマとはく製で紹介。さらに、対馬海流の影響を受ける庄内海岸や飛島の暖地系生物、雪国の冬眠を示すジオラマ、オサガメ標本もあり、山形の自然を「標本の一覧」ではなく「環境ごとの生き物の物語」として味わえます。
湿原の保存と標本収集で、地域の生物を未来へつなぐ
山形県立博物館は、昆虫や動物の飼育下繁殖を前面に出す施設ではありませんが、地域の生物を守り、記録し、研究資料として残す取り組みに強みがあります。収蔵資料データベースでは地学・植物・動物など多数の資料が公開され、山形県の自然に関する実物資料を継続して収集・保存する方針が示されています。さらに附属自然学習園の琵琶沼は、湿原と動植物の保存・活用を目的に開設され、県天然記念物にも指定された自然観察の場です。ここでは、氷河期からの生き残りとされるヒメカイウやホロムイソウ、ツルコケモモ、ワタスゲ、トキソウなどの湿原植物に加え、クロサンショウウオ、モリアオガエル、マダラナニワトンボ、オゼイトトンボ、ハッチョウトンボなど、20種類以上のトンボ類が確認されています。展示室で山形の生物相を学び、附属自然学習園で湿原そのものを保全する構成は、県内の自然史を標本と生息地の両面から未来へ引き継ぐ取り組みといえます。
