施設の特徴
秋田県立博物館の特徴
デワクジラと秋田の希少生物から、海・森・水辺の生命史を読む
秋田県立博物館は、地質・生物・人文を横断して「秋田学」を体系化する県立の総合博物館です。生物展示の核は、秋田の大地と生き物を一続きの歴史として見せる自然展示室。なかでも由利本荘市矢島町で発見されたヒゲクジラ類化石「デワクジラ」は、展示標本だけで約7m、尾を含めると全長約10mと推定される大型資料で、脊椎骨24個以上、肋骨21本がまとまって見つかった日本国内でも貴重な1個体分の化石です。ほかにもデスモスチルス、ナウマンゾウ、メガロドンの歯、男鹿半島のアシカやオオツノジカを含む化石群、現生のクマゲラ、イヌワシ、クマタカ、クニマス、ハタハタ、タガメ、ギフチョウなど、秋田の海・山・里・水辺を代表する生物資料が並びます。
環境ごとに生物を見せ、標本を“観察できる形”にする
展示方法の特徴は、生物を分類棚の中だけに閉じ込めず、自然林、里山、河川・湖沼・湿原、海・沿岸という環境ごとに見せている点です。「いのちの詩」ゾーンでは、はく製、骨格、押し葉、昆虫標本に加え、いろいろな方向から観察できるアクリル封入標本を用い、植物の形や昆虫の細部、生き物同士のつながりを立体的に理解できます。天然ブナ林がツキノワグマや昆虫を支え、秋田の海では対馬暖流の影響で北方系と南方系の動物が同時に見られることなど、標本の背後にある生態環境まで読み取れる構成です。地質の「大地の記憶」ゾーンでは、触れられる標本も増やされており、化石や岩石を入口に、秋田の生物がどんな大地の上で進化し、暮らしてきたのかを体感できます。
標本保存と体験展示で、秋田の自然を次世代へつなぐ
秋田県立博物館は、動物園や水族館のように飼育下繁殖を見せる施設ではありませんが、生物を研究資料として保存し、次世代の観察へつなぐ技術に強みがあります。ブナのアクリル封入標本のように、花・果実・樹形と生態的な役割を一体で伝える資料は、野外では一度に見にくい生物の特徴を室内で確かめられる工夫です。また、デジタル解説コンテンツ「アキハクコレクション」では、生物・地質資料の情報が整理され、展示室で見た標本をより深く調べられるようになっています。わくわくたんけん室では「見る・触れる・作る・試す」体験を通して、自然の見方や調べ方を身につけられるのも魅力です。秋田県内の自然を、化石、標本、観察体験の三方向から学べる、地域の生物多様性を残す拠点といえます。
