施設の特徴
ところ昆虫の家の特徴
カブトムシ・クワガタから世界の蝶まで、昆虫を「地域の自然」として見る
ところ昆虫の家は、旧吉野小学校を活用して始まった、手作り感の強い自然体験型の昆虫施設です。原点には、教室にオガクズを敷き、近くの山で採ったカブトムシやクワガタ約600匹を飼育したというエピソードがあります。昆虫をケースの中の観賞物としてだけでなく、常呂町吉野の森や川とつながる生き物として扱ってきた点が、この施設の核です。標本室には札幌の収集家による世界の蝶の標本もあり、身近な甲虫と世界の昆虫を行き来しながら、子どもが「捕まえる虫」から「比べて観察する虫」へ視野を広げられます。
廃校と6万平方メートルの敷地を使う、野外型の見せ方
展示方法の特筆点は、昆虫館の中だけで完結しないことです。世界の昆虫博物館、カブトムシ飼育室、池、ホタルの川、周辺の森や広場が組み合わさり、標本・飼育・野外観察がひとつの流れになっています。ホタルの川では、協力者による清掃などで環境を整え、夏の夜に光る姿を見られる場所として紹介されています。一般的な展示室型の昆虫館に対し、ここでは「標本を見る」「飼育室を見る」「水辺や森で生き物の気配を探す」という体験が近い距離にあり、常呂町吉野の自然そのものを展示空間として使っているのが魅力です。
飼育室とホタルの川に残る、繁殖・環境づくりの思想
繁殖・飼育面では、カブトムシやクワガタの飼育室に加え、ホタルの繁殖に挑戦してきた歴史が重要です。希少昆虫の大規模な研究施設ではありませんが、昆虫が生き続けるための寝床、水辺、餌場、周辺環境を人の手で整えるという姿勢が一貫しています。池にはヤマベやドナルドソンなどを放した記録もあり、昆虫だけを切り離すのではなく、水生生物や川辺の環境まで含めて自然体験を組み立ててきました。施設の整備や管理は地域住民や協力者の手で支えられてきたため、来訪者は展示された虫を見るだけでなく、「昆虫が暮らせる場所を守るには何が必要か」まで感じ取れる場所です。
