施設の特徴
島根県立三瓶自然館サヒメルの特徴
ニホンアシカから絶滅チョウまで、島根の生物史を標本でたどる
島根県立三瓶自然館サヒメルは、大山隠岐国立公園・三瓶山地区の自然を入口に、島根の生き物と大地の成り立ちを結びつけて紹介する自然史博物館です。生物展示で最も強い存在感を放つのは、かつて島根県周辺にも生息していたニホンアシカの剥製「リャンコ大王」。1934年に竹島で捕獲されたオス成獣で、捕獲時の大きさや重さの記録が残る、世界最大のオス成獣剥製とされる貴重な標本です。同館ではこの最大個体を含む3体のニホンアシカ剥製を展示しており、県内の自然史展示の中でも、絶滅した海獣の姿をここまで具体的に見られる場は特に貴重です。さらに、島根県から絶滅した可能性が高いオオウラギンヒョウモンやウスイロヒョウモンモドキなどのチョウ標本、ほ乳類・鳥類の剥製、植物標本もそろい、山・森・海に生きた島根の生物を時間軸で見渡せます。
「見る・ふれる・聞く」で、標本を生きた自然へ近づける
展示方法の魅力は、標本をガラス越しに眺めるだけで終わらせず、感覚を使って自然に近づける構成にあります。本館1階の「ふしぎの森であそぼう!」では、森の中に入ったような空間で毛皮にふれたり、鳥の声を聞いたりしながら、生き物の気配を体で受け取れます。新館では、約4000年前の三瓶小豆原埋没林から発掘されたスギの巨木を実物展示し、階段の壁面には火山活動を物語る地層のはぎ取り標本を配置。三瓶山の噴火が森を閉じ込め、現在の生物相へつながっていく流れを、立体的にたどれるのが特徴です。スマートフォンやタブレットで標本解説を見られる仕組みもあり、子どもから大人まで、島根の自然を「見て、ふれて、確かめる」展示として楽しめます。
標本保存と調査・保全で、地域の生き物を未来へつなぐ
サヒメルは、生きた昆虫や動物を大量に繁殖展示する施設ではありませんが、標本の保存・調査・更新を通じて、地域の生物多様性を守る役割を担っています。収蔵庫には展示室に出ている以上の標本が保管され、学芸員が選ぶ「お宝標本」コーナーでは、普段見られない資料を入れ替えながら紹介。哺乳類や地質分野の調査も展示に反映され、標本が単なる過去の資料ではなく、今の島根の自然を考える手がかりとして活用されています。企画展では、12年ぶりに改訂される「しまねレッドデータブック」に合わせ、県内で絶滅の危機にある山野の生き物を生息環境別に紹介し、昆虫・鳥類・植物・哺乳類を学芸員が解説するギャラリートークも実施。観察会や森を歩くプログラムとあわせて、標本、野外、保全をつなぐ県内屈指の自然学習拠点になっています。
