施設の特徴
島根大学総合博物館アシカルの特徴
世界的に希少な絶滅動物標本に出会える
島根大学総合博物館アシカルは、明治時代以来の教育・研究で集められてきた標本資料を公開する大学博物館です。生物展示でまず見逃せないのは、館名の由来にもなったニホンアシカ剥製標本。1886年に美保関近海で捕獲された個体で、ニホンアシカとして確実な剥製標本は国内外にわずか19体ほどとされます。そのうち島根県内に複数の標本が残ること自体が地域の大きな特徴で、島根大学所蔵標本は島根県指定天然記念物にもなった、世界的にも希少な資料です。さらに、隠岐にいた日本固有の小型馬「オキウマ」の骨格標本も重要です。体高126cmの唯一の実物標本とされ、絶滅した在来馬の小柄で身軽な体つきを、写真や説明だけでなく実物資料から確かめられます。化石では、松江層から見つかった世界最古級のアユ化石、パレオパラドキシア骨格復元模型などもあり、山陰の海・川・陸に生きた生物の長い時間をたどれるのが魅力です。
化石・骨格・剥製をつなぎ、島根の自然史として見せる
展示方法の特徴は、珍しい標本を単品の“お宝”として見せるだけでなく、「島根の自然史」という流れの中で読ませることです。岩石・鉱物・化石・植物・動物・昆虫が同じ展示テーマのもとに置かれるため、来館者は、絶滅動物の姿だけでなく、それらが生きた環境や地域の地史まで合わせて想像できます。約1300万年前に絶滅した海生哺乳類パレオパラドキシアは、岡山県津山市で見つかった約90点の骨格化石をもとに、島根大学の学生が1年がかりで組み立てた復元模型として展示されています。四肢が横に張り出し、低い姿勢で復元された姿は、単なる骨格標本ではなく、「この不思議な哺乳類はどのように動いたのか」を考えさせる展示です。企画展示では、世界最古級のアユ化石と生きたアユを水槽で並べた例もあり、化石と現生生物を比較しながら観察できる点は、大学博物館ならではの見せ方といえます。
標本研究と小さな生体管理から、生き物を学ぶ
アシカルは大型動物を飼育繁殖する施設ではありませんが、生物を「保存された標本」と「いま生きている小さな命」の両方から学べる場です。学生サークルが展示室の水槽管理に関わり、ミナミメダカの卵が孵化した記録もあります。派手なショーや大規模繁殖施設ではなく、卵から稚魚が泳ぎ出すような身近な変化を、大学の教育活動と結びつけて見せている点が特徴です。さらに、池の水にすむミドリムシやゾウリムシを観察する体験型の催しも行われており、昆虫・植物・魚類・微生物まで含めた「地域の生物を調べる入口」として機能しています。世界的に希少な絶滅動物標本を見たあとに、身近な水辺の生き物へ視線が戻る構成は、山陰の自然を過去から現在までつなげて考えられる、県内の大学博物館らしい魅力です。
