施設の特徴
愛媛県総合科学博物館の特徴
愛媛の絶滅動物と恐竜を、標本から読み解く
愛媛県総合科学博物館で生物展示の核になるのは、自然館の「地球」と「愛媛」をつなぐ展示です。中生代の生きものではティラノサウルスやトリケラトプスが大きな存在感を放ち、化石や大型模型を通して、肉食恐竜・植物食恐竜の体格差やくらしぶりを直感的に捉えられます。さらに、愛媛の生物として特筆したいのがニホンカワウソです。愛媛県はニホンカワウソと関わりの深い地域で、同館では県内で発見された個体の標本を通じ、かつて水辺に生きていた哺乳類の姿と、絶滅へ向かった背景を学べます。恐竜のような太古の生物と、近代まで人の暮らしの近くにいた絶滅動物を同じ自然史の流れで見られる点は、県内の博物館展示として大きな個性です。
ジオラマと大型模型で、生態を“環境ごと”に見せる
展示方法は、標本をただ並べるのではなく、宇宙から地球、そして愛媛へと視点をしぼっていく構成が特徴です。自然館では、生命の誕生と進化、砂漠・サバンナ・極圏・海洋などの環境ごとの生物、さらに愛媛の自然へと進み、動物がどんな環境に適応してきたかを流れで理解できます。実物大の動くティラノサウルスとトリケラトプスは、単なる迫力演出にとどまらず、体の大きさ、頭部や角のバランス、捕食者と草食恐竜の対比を体感させる展示です。愛媛のゾーンでは、石鎚山のブナ林など地域の自然をジオラマで再現し、鳥類や両生類を含む山地生態系を“場所ごと”に観察できるのも魅力です。
標本を守り、地域の生物研究へつなぐ博物館
生きた動物の繁殖施設ではありませんが、愛媛県総合科学博物館の強みは、標本の保存・調査研究を通じて生物の情報を未来に残している点にあります。ニホンカワウソでは、県内で捕獲された個体の剥製標本や、動物園に残された胎仔標本を研究対象として扱い、外部の研究機関と連携した観察・画像解析も行われています。生体を増やす繁殖技術とは異なりますが、絶滅後には標本こそが形態や発生、生息記録を読み解く手がかりになります。来館者にとっては、かわいい・大きい・珍しいという入口から、地域の生物多様性をどう記録し、どう残すかまで考えられる博物館です。
