施設の特徴
姫路市立水族館の特徴
播磨の里地・里海を主役に、希少な淡水魚まで見せる
姫路市立水族館は、播磨地方の身近な水辺をテーマにした地域密着型の水族館です。新館では「はりまの里地」として淡水魚やカメ、両生類などを、本館では「はりまの里海」として播磨灘の海水魚やウミガメ、フンボルトペンギンなどを中心に展示しています。大型水族館のような巨大生物で圧倒するのではなく、川、ため池、磯、内湾に暮らす生きものを丁寧に見せるのが個性です。特に、国の特別天然記念物で世界最大級の両生類として知られるオオサンショウウオ、アカウミガメ・アオウミガメ・タイマイ、地域の希少淡水魚コーナーで見られるオオシマドジョウなど、身近さと希少性が同居しています。兵庫県内では比較的知られた水辺の生物も、地域外の来館者にとっては播磨の自然を知る入口になります。
触る・探す・見比べる、行動がわかる展示
展示方法の魅力は、生きものの暮らし方を来館者が自分で発見できることです。播磨灘大水槽では、カキいかだの周りを泳ぐ魚やイワシの群れを通して、地域の海の景観を水槽内に再現しています。ウミガメプールは上からも横からも観察でき、泳ぐ姿や水面に上がる動きを立体的に見られます。細い筒に入るアナゴ、透明な殻を背負ったヤドカリ、体に毛糸をまとわせることで擬態のしくみを見せるモクズショイなど、小さな生物の習性をわかりやすく伝える展示も印象的です。サメやエイ、ヒトデ、ウニ、ナマコなどに触れられるタッチプールや、屋上のビオトープ、魚と遊べる小川もあり、ただ水槽を眺めるだけでなく、播磨の水辺を手触りのある体験として学べます。
全国初の自然繁殖実績と、観察会につながる飼育技術
繁殖・飼育の面で特筆すべきは、オオシマドジョウの自然繁殖に、日本動物園水族館協会加盟施設として全国で初めて成功したことです。水温調整などの飼育管理を重ね、産卵、受精卵の確保、ふ化稚魚の育成を経て、最終的に15尾の繁殖個体を得たと公表されています。オオシマドジョウは日本固有の淡水魚で、兵庫県では比較的安定して見られる一方、大阪府・香川県・高知県では絶滅のおそれがある種として扱われています。地域の淡水魚を「展示する」だけでなく、飼育下で命をつなぎ、親個体と繁殖個体を同じ希少淡水魚コーナーで見せている点は、この水族館の大きな強みです。アカウミガメの産卵・ふ化、ナゴヤダルマガエルの累代繁殖個体の展示、セトウチサンショウウオの紹介なども、播磨周辺の生物を守り伝える姿勢につながっています。
ペンギン、ウミガメ、ヌートリアと魚、ケヅメリクガメの食事時間には、飼育係が給餌しながら生態を解説するプログラムがあり、食べ方や動きの違いを観察しやすくなっています。春の磯観察会では磯の生きものを採集して職員が解説し、カメの産卵観察会ではクサガメ、イシガメ、アカミミガメの産卵行動を学べます。口コミでも、こじんまりしている分ゆっくり見られること、淡水魚やカメ、ペンギンを近くで観察できること、手作り感のある展示の工夫が評価されています。姫路市立水族館は、派手なショーよりも、地域の水辺にいる生物の形・行動・繁殖をじっくり見せる「山の上の水辺の教室」のような水族館です。
