施設の特徴
横浜市立金沢動物園の特徴
世界の希少草食動物を大陸別にたどる園
横浜金沢動物園は、開園当初から「世界の希少草食動物」を軸にしてきた、横浜市立動物園の中でも個性がはっきりした園です。園内には約50種・約1,000点の動物が暮らし、アメリカ区・ユーラシア区・オセアニア区・アフリカ区の4大陸に分けて展示されています。特に注目したいのは、絶滅危惧IB類のオカピ、インドゾウ、絶滅危惧IA類のヒガシクロサイ、野生では一度絶滅したアラビアオリックス、絶滅危惧II類のコアラなど、体の大きさや食べ物、すむ環境が大きく異なる草食動物をまとめて見比べられる点です。神奈川県内でも、ここまで希少草食動物に展示テーマを絞った動物園は貴重で、肉食獣の迫力ではなく、草食動物の進化と生き残り方をじっくり観察する場所といえます。
カンガルーの空間に入るウォークスルー展示
展示方法の魅力は、動物を“遠くの檻の中”に置かず、暮らす環境ごと感じられるようにしていることです。オセアニア区ではオオカンガルーの展示場がウォークスルー形式になっており、カンガルーが休む、歩く、群れで距離を取るといった姿を、同じ空間を歩きながら間近に観察できます。アフリカ区では、森にすむキリン科のオカピ、巨大な体をもつヒガシクロサイ、長い首で高い葉を食べるキリンを比べられ、体のつくりと食べ方の違いが自然に見えてきます。定例の動物ガイドも充実しており、オカピ、コアラ、インドサイ、キリン、バーラル、ゾウなどについて、飼育員の解説を通して行動の意味を知れるのも強みです。
認定希少種保全動物園として命をつなぐ取り組み
繁殖・飼育の面では、横浜金沢動物園は環境省の「認定希少種保全動物園」に認定されており、横浜市の動物園では初の認定施設です。開園以来、アラビアオリックスやインドサイなど大型希少草食動物の繁殖に成功してきた実績があり、単に珍しい動物を見せるだけでなく、飼育下個体群を将来につなぐ役割を担っています。さらに、2015年に開館した「身近ないきもの館」では、国の天然記念物であるミヤコタナゴの継続的な繁殖にも取り組み、2026年には相模原市の水産技術センターから100匹を搬入して、遺伝的多様性の回復を見据えた個体群管理を進めています。大型動物から地域の淡水魚まで、絶滅の危機にある生物を幅広く支える飼育技術が見えてくる動物園です。
