施設の特徴
いしかわ動物園の特徴
日本の動物園で唯一見られるトキと高山のライチョウ
いしかわ動物園は、約190種の動物を飼育し、「楽しく、遊べ、学べる動物園」を掲げる石川県の動物園です。なかでも特筆したいのは、日本の動物園ではここでしか見られないトキ。特別天然記念物であり、国内で一度姿を消した鳥を、石川県の里山に戻す保全の文脈ごと知ることができます。さらに「ライチョウの峰」では、国の特別天然記念物であるライチョウも展示され、本州中部の高山帯に生きる鳥の季節で変わる羽色や、雪上を歩くために足先まで羽毛に覆われた体のつくりを観察できます。北陸の自然と結びつきの深い希少鳥類を、動物園の中で比較して見られる点が大きな個性です。
里山・高山・樹上生活を環境ごと見せる展示
展示方法の魅力は、生き物を単体で並べるのではなく、暮らす環境ごと再現しようとしていることです。トキ里山館では、棚田風の湿地や樹木のある空間で、トキが地面をついばむ姿や飛翔する姿を観察できます。隣接する学習展示では、嘴や足、羽に触れながら、田んぼや湿地で生きる鳥としての特徴を理解できる構成です。ライチョウの峰では、山小屋風の入口から高山帯へ入っていくような演出があり、ガラスドームのトンネル越しに白山の山並みを背景とした展示を見られます。ボルネオオランウータンの展示では、樹上生活を再現するために消防ホースの遊具を設けるなど、動物本来の動きを引き出す工夫も見どころです。
トキとライチョウの繁殖で種を未来につなぐ
繁殖・飼育面では、トキの分散飼育と繁殖が園の重要な役割です。いしかわ動物園では、感染症などによる再絶滅リスクを避けるため、佐渡以外の拠点としてトキを受け入れ、2010年から繁殖に成功してきました。非公開のトキ飼育繁殖センターには、繁殖ケージを確認するモニター、ふ卵器、人工育雛設備が備えられ、自然ふ化・自然育雛を基本にしながら、必要に応じて飼育員が巣材や繁殖環境を整えています。園で生まれたトキは野生復帰訓練を経て放鳥されており、展示で見た鳥が地域の自然再生とつながっていることを実感できます。
ライチョウでも繁殖実績が重ねられており、2025年には9年連続となるヒナの誕生が発表されています。高山帯の鳥は温度や環境の変化に敏感で、卵やヒナの管理には細かな観察が欠かせません。いしかわ動物園は、トキの里山保全とライチョウの高山生態系保全を同時に伝えられる、北陸らしい希少種保全の現場です。大型動物を楽しむだけでなく、絶滅の危機にある鳥をどう飼育し、どう自然へつなぐのかまで見えてくる動物園です。
