概要
生態と外見
ラクダ科ビクーニャ属の中型偶蹄類で、体長 1.2〜2.2 m・体高 0.8〜1.0 m・体重 48〜84 kg 級。体毛は極めて長く密生した細毛 (繊維直径 18〜25 μm) で、白・黒・褐色・灰色等 22 色以上の自然色変異がある。頸部が長く、頭部は小さく耳が立ち上がる。南米アンデス山脈高地 (ペルー・ボリビア・チリ北部) で約 6,000〜7,000 年前に野生ビクーニャ Vicugna vicugna から家畜化されたとされ、2001 年の遺伝学的解析でラマ属でなくビクーニャ属に再分類された (Kadwell et al. 2001, Proc R Soc B 268:2575-2584)。IUCN レッドリストでは家畜化された種として評価対象外。
他分類との違い
近縁のラマ Lama glama と比べ、体格がやや小さく被毛がより細く密生する点で識別される。ラマは荷役向け・アルパカは繊維向けに選抜された家畜化系統で、用途による形態分化が顕著。野生種ビクーニャ Vicugna vicugna と比べ、被毛色彩が多様で人為選抜された家畜型として明瞭に分離される。
名前の由来
学名 Vicugna pacos の Vicugna はケチュア語 wikuña (ビクーニャ) のラテン化、種小名 pacos はケチュア語 paqu (アルパカ) に由来する。和名「アルパカ」はスペイン語 alpaca 経由の借用。英名 Alpaca も同じスペイン語由来。
興味深い特徴
被毛は繊維直径 18〜25 μm の極細毛で、カシミヤ (カシミヤヤギの下毛から得られる高級繊維、繊維径 約 14〜19 μm) に次ぐ繊維素材として国際市場で高価値。スリ (suri) 種とワカイヤ (huacaya) 種の 2 主品種があり、スリは長毛で巻き毛、ワカイヤは縮れ毛で蓄熱性が高い。
明日使えるうんちく
毛繊維のスケール構造が羊毛より滑らかで、毛玉になりにくく軽量で保温性が高い。インカ文明では「神々の繊維」とされ王族専用の衣服素材に用いられた。ペルーでは現在も全アルパカの 80% 以上を飼養し、世界生産量の 90% 以上を占める (FAO 2022)。
基本情報
Vicugna pacos
ヴィクニャ・パコス
Alpaca
アルパカ
