生態と外見
ユーラシアと北アメリカに広く分布するクマ科で、体長 1.5〜2.8 m・体重 雄 100〜700 kg 級・雌 80〜250 kg 級。亜種により大きさは大きく異なり、アラスカのコディアックヒグマ (U. a. middendorffi) は陸生肉食目で最大級。被毛は淡褐色から黒褐色まで個体差があり、肩のこぶ (shoulder hump) は強力な前肢筋に支えられる。IUCN レッドリストでは種としては Least Concern (LC) だが、地域個体群によっては絶滅危惧。
他分類との違い
近縁のホッキョクグマ (U. maritimus) とは約 50 万年前に分岐したと考えられ、雑種形成も知られる。アメリカクロクマ (Ursus americanus) より大型で肩のこぶが顕著、ナマケグマ (Melursus ursinus) より雑食寄りで肩こぶの発達でも区別される。
名前の由来
属名 Ursus はラテン語で「クマ」、種小名 arctos はギリシャ語 arktos (「北のクマ」) に由来する。和名「ヒグマ」は「緋熊」「日熊」など諸説あるが、北海道アイヌ語の kimun-kamuy (山の神) は別系統の呼称。
興味深い特徴
冬期は穴ごもりで仮死的な代謝低下状態に入り、体温は通常より 3〜5 度低下する程度に留まる (本格的な hibernation ではなく torpor 寄り)。雌はこの間に出産・授乳を行い、新生仔は約 350 g と成体比 1/1,000 級で生まれる。
明日使えるうんちく
サケが遡上する地域 (アラスカ・カムチャツカ) では、ヒグマが運ぶ海洋由来窒素が森林生態系に流入し、樹木年輪の同位体比に痕跡が残ることが知られる。狩猟者の経験則として、「足跡 5 寸を超えれば一級雄」とされる。