基本情報
Sarcophilus harrisii
サルコフィルス・ハリシイ
Tasmanian devil
タスマニアンデビル
生態と外見
フクロネコ目 (Dasyuromorphia) フクロネコ科の中型有袋類で、現生有袋類で最大の捕食者。体長 50〜80 cm・尾長 23〜30 cm・体重 6〜12 kg 級 (雄が大型)。全身黒色の短毛、胸・臀部に不規則な白色斑、頭部が体に対して相対的に大きく、強靭な顎と歯を持つ。オーストラリア・タスマニア島に固有分布 (オーストラリア本土では数千年前に絶滅)。腐肉食性 + 小型〜中型動物の捕食。IUCN レッドリストでは Endangered (EN) 評価。
他分類との違い
フクロネコ科 (Dasyuridae) の他属 (フクロネコ属 Dasyurus・フクロアリ属 Antechinus 等) と比べ、本属 Sarcophilus は単型属で体格・咬合力・腐肉食適応で独自進化を遂げた。袋オオカミ Thylacinus cynocephalus (フクロオオカミ科、1936 年絶滅) と並び有袋類大型捕食者の系統だったが、現存するフクロネコ科捕食者では本種が最大。
名前の由来
学名 Sarcophilus harrisii の Sarcophilus はギリシャ語「肉を愛する者」、種小名 harrisii は本種を 1807 年に最初に記載した英国博物学者ジョージ・プリドー・ハリス (George Prideaux Harris) に献名されたもの (1841 年に Boitard が Sarcophilus 属を立てて命名)。和名「タスマニアデビル」は欧州人入植者が夜間の不気味な鳴き声・赤い耳・黒い体毛から「悪魔 (devil)」と呼んだことに由来。
興味深い特徴
体格に対する咬合力比は哺乳類で最も強力な部類で、骨を粉砕して骨髄まで採食できる。1996 年に発見された顔面腫瘍 (Devil Facial Tumour Disease, DFTD) は他個体への咬傷で物理的に伝染する稀な感染性癌で、約 20 年で個体数が約 80% 減少した。遺伝的多様性の低さと組織適合抗原 (MHC) の単一性が伝染性癌の成立を可能にしたと考えられ、保全遺伝学の重要研究対象。
明日使えるうんちく
近年の保全活動として、感染性癌のない隔離個体群がオーストラリア本土の野生に再導入され (2020 年、Aussie Ark によりニューサウスウェールズ州での放獣)、約 3,000 年級ぶりとされる本土復帰として注目された。鳴き声は咳と悲鳴を組み合わせたような独特の音で、ルーニー・テューンズのキャラクター「Taz (タズ)」のモデルとなった。
