概要
生態と外見
タコ目マダコ科マダコ属の中型八腕類で、外套長 15〜20 cm・腕を含めた全長 60〜80 cm 級、体重 1〜3 kg 程度。体色は灰褐色〜赤褐色で、皮膚に黒褐色の輪状斑紋 (ocellus) を腕基部に持ち、興奮時には体全体に縞状模様を浮かび上がらせる。インド太平洋熱帯サンゴ礁 (紅海・東アフリカ・東南アジア・ハワイ・日本南西諸島) の浅海 (水深 0〜50 m) に分布。同じタコ類の中で珍しく昼行性で、日中サンゴ礁を巡回し甲殻類・小魚を採食する。
他分類との違い
同属のマダコ Octopus vulgaris (温帯・夜行性) と異なり、本種は熱帯サンゴ礁の昼行性。同じ昼間に活動する近縁種 Octopus laqueus と腕基部の輪状斑紋の有無で識別される。同じくサンゴ礁に住むタコ類は多いが、本種ほど大きく目立つ斑紋を持つ種は他にない。
名前の由来
学名 Octopus cyanea の cyanea はギリシャ語 kyanós (濃青色・暗藍色) に由来し、興奮時に現れる暗藍色の体色を指す (Gray 1849 記載)。和名「ワモンダコ (輪紋蛸)」は腕基部の輪状斑紋を指す。英名 Day octopus は昼行性に由来。
興味深い特徴
サンゴ礁の他種 (主にハタ類・ウツボ) と協調採食 (cooperative hunting) を行うことが観察されており、タコがハタに獲物の隠れ場所を指し示す signal を出す事例が報告されている (Vail et al. 2013、Sampaio et al. 2020)。タコと魚という異門・異綱の協調採食は脊椎動物-無脊椎動物間で稀。
明日使えるうんちく
ハワイ・タヒチでは食用 (he'e、ファアパ) として伝統的に重要で、ハワイ語 he'e は「滑る (flow)」の意で岩肌を流れるように動く本種の動きに由来する。寿命は 12〜15 か月と短く、雌は産卵後絶食して死亡する半殖性。日本では「アカマダコ」「サンゴダコ」とも呼ばれ、南西諸島で食用とされる。
基本情報
Octopus cyanea
オクトプス・キアネア
Day octopus
デイオクトパス
60〜80 cm(腕を含めた全長(外套長15-20cm))
1〜3 kg
12〜15 年(単位は月・半殖性)
肉食(甲殻類・小魚)
昼行性
サンゴ礁(水深0-50m)
インド太平洋熱帯(紅海・東アフリカ・東南アジア・ハワイ・日本南西諸島)
