概要
生態と外見
ヒメコエビ科 (Lysmatidae) リスマタ属の小型エビで、体長 5〜6 cm 級。体色は鮮やかな黄橙色の地に背部正中を白色の縦帯が走り、その両側を赤色の縦帯が縁取る配色から「スカンク」(白縦縞のスカンクを連想) の俗称が付いた。インド洋〜西太平洋のサンゴ礁に分布し、日本では小笠原・琉球諸島の岩礁・サンゴ礁の岩穴に小群で生息する。
他分類との違い
オトヒメエビ Stenopus hispidus と同様に掃除エビとして知られるが、本種は群居性で岩穴に数匹〜10 匹がまとまって生息する点が異なる (オトヒメエビは一夫一妻ペア)。第 1〜2 歩脚に鋏を持つが第 3 歩脚は無鋏で、オトヒメエビとは前胸付属肢の構造が大きく異なる。同属のシロエンドウシュリンプ Lysmata wurdemanni と異なり、本種は背中の白縦帯が明瞭で連続する。
名前の由来
学名 Lysmata amboinensis の属名 Lysmata はギリシャ神話の英雄リサンドロスから派生したと推測される (確定的語源は不明)。種小名 amboinensis はインドネシア・モルッカ諸島のアンボン (Ambon) 島が基準産地であることを示す。De Man により 1888 年に記載。英名「white-banded cleaner shrimp」は背中の白縦帯と掃除行動に由来し、和名「スカンクシュリンプ」は配色からの俗称。
興味深い特徴
雄性先熟的同時的雌雄同体 (protandric simultaneous hermaphroditism) で、最初は雄として繁殖し、脱皮を経て同時に精子と卵子を産生する雌雄同体段階へ移行する。この段階では交尾時に片方が雌役、もう片方が雄役を演じ、別個体ペアで相互交尾する事例が観察されている (Bauer 2000)。サンゴ礁の cleaning station ではオトヒメエビと共存することが多く、両種で大型魚の異なる寄生虫を分担除去する事例も報告されている。
明日使えるうんちく
海水アクアリウムで最も人気の掃除エビの一つで、宿主魚 (タツノオトシゴ・ハタ・チョウチョウウオ等) の体表寄生虫 (cymothoid 系等脚類等) を除去する。ペアで飼うと産卵頻度が高く、卵から孵化した幼生 (zoea) は数週間の浮遊生活を経て稚エビに変態する。水温 25〜27℃ の安定環境を好み、急激な水質変化に弱い。
基本情報
Lysmata amboinensis
リスマタ・アンボイネンシス
White-banded cleaner shrimp
ホワイトバンディッドクリーナーシュリンプ
5〜6 cm(体長)
肉食(大型魚の体表寄生虫(掃除行動))
サンゴ礁の岩穴
インド洋〜西太平洋(日本では小笠原・琉球諸島)
